神経内分泌腫瘍
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神経内分泌腫瘍(NET)とは
神経内分泌腫瘍(NET)は神経系からのホルモンを分泌する細胞から発生する腫瘍を指し、腫瘍から分泌されるホルモンが人体に強い影響を与えて、異常な症状が出る機能性NETと症状のない非機能性NETに分けられます。
機能性NETとは腫瘍の分泌するホルモンが低血糖や消化性潰瘍発生などの特異的症状を引き起こし患者様を悩ませるNETのことです。 ホルモンの種類によって発生部位や症状が異なります。
非機能性NETは腫瘍が大きくなり、他の臓器を圧迫したり出血したりする場合には症状を引き起こしますが、その場合には機能性NETとは呼びません。
神経内分泌腫瘍(NET)の診断方法
①採血での診断
空腹時に採血をして血液中のホルモン濃度を測定すれば鑑別診断ができますが、 鑑別診断が難しい場合は専門医に診てもらう必要があります。 また、症状の現れないNETが健康診断などで偶然見つかる場合もあります。 NETの発生頻度は低く、比較的珍しい疾患ですから、見逃さずに診断し、早い時期に治療することが大切です。
②画像診断
NETの治療において、NETの部位、転移、NETの性質などを調べることが重要です。 そのためCTや内視鏡的超音波断層検査(EUS)やMRIなどの画像診断を行います。
③局在診断
画像診断では難しい1cm未満の病巣に対して、日本で開発された※選択的動脈内刺激薬注入法(SASI Test)で診断を行い、 画像診断は補助的に行われます。
インスリノーマにはカルシウム溶液を用いたSASI Testを行い、ガストリノーマにはセクレチンやカルシウム溶液を用いたSASI Testを行います。 グルカゴノーマやVIPオーマにもカルシウム溶液を用いたSASI Testを行います。
1cm以上の大きさの肝転移や肺、脳への転移の有無の診断はCT、MRIで可能です。 局在診断ができれば切除術で治癒します。
※細い管(カテーテル)を用い、股の付け根の動脈から膵臓の各部位の細い動脈に少量の刺激薬(カルシウムなどのホルモン分泌を刺激する薬)を注入します。 同じ股の付け根の静脈から肝静脈にカテーテルをもう1本入れて、刺激薬を入れる前と後で肝静脈の血液を採血してホルモンを測定します。 ホルモンを分泌する腫瘍が栄養とする動脈から刺激薬を注入された場合は肝静脈血のホルモン値が40秒以内と急速に上昇しますが、それ以外の動脈から刺激薬を注入してもホルモン値は変化しません。この検査によって、NETの正確な場所、数などが診断できます。
④病理組織診断
臨床検査の一つで手術または検査の目的で採取した腫瘍、または細胞を対象に顕微鏡などを用いて詳しい診断を行うことが可能です。
神経内分泌腫瘍の治療
①外科手術
手術の方法としては、完全に腫瘍を切除する場合と転送巣を含めた削除可能な部分の腫瘍を削除する減量削除の2つに分かれます。
- メリット
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他の治療法に比べて、元の病巣を切除するため、最も治癒の可能性が高い治療法です。
- デメリット
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皮膚を切開してからの手術のため身体への負担が大きい。
②薬物療法
腫瘍のみに作用し、腫瘍が大きくなるのを抑える分子標的薬や抗がん剤を使用して、血液の中から全身をめぐり、体内のがん細胞を殺すことで腫瘍が大きくなるのを抑えます。
他にもソマトスタチンアナログなどでホルモンの作成を抑えることにより、ホルモン由来の症状を和らげる方法やNETの症状に応じて、薬を使用する対症療法などもあります。
③局所療法
NETが肝臓に転移した場合に行います。
肝転移の個数や場所により治療を選択、可能な限り腫瘍を少なくします。
1)ラジオ波焼灼術
皮膚の上から腫瘍の中に電極針を挿入し、※ラジオ波電流を流すことで電極周囲に発生させた熱によって病変を固めてしまいます。
固まった細胞は細胞の機能が失われているために死滅します。
ラジオ波焼灼術は日本では1999年頃から広く臨床使用されており、 2004年4月には日本でも保険適用手術として認められ、肝細胞癌に対する標準的な治療として位置づけられています。
※ラジオ波とはAMラジオなどの周波数に近い高周波のことを指し、他の医療機器(電気メスなど)に使用される高周波と同じものです。
- メリット
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切除手術と比較してラジオ波焼灼術の方が患者さんへの負担が少なくてすみます。
- デメリット
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ごくわずかではあるが、合併症を起こす可能性がある。認知症患者や重篤な腎機能障害を持った患者など、治療を受けることができない可能性がある。
2)肝動脈塞栓術(TAE)
肝動脈塞栓術(TAE)は肝動脈を塞栓剤などで塞ぎ、血液の流れを止めることにより腫瘍細胞への酸素や栄養の供給を絶つ方法です。
血液をもらえなくなった腫瘍細胞はやがて死滅します。
- メリット
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患者様への負担が少ない。
- デメリット
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腫瘍を根絶することは難しい。副作用が出る可能性がある。(発熱、腹痛、腹部膨満感)
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