慢性腎炎症候群・慢性間質性腎炎・慢性腎不全

慢性腎炎とは

腎臓のネフロンにある糸球体は血液を濾過して、老廃物を尿として体外へ排出する働きを担っている。糸球体に炎症が起こり、たんぱく尿や血尿を慢性的に生じる腎臓病を総称して慢性腎炎(慢性糸球体腎炎)と言う。

慢性腎炎にはIgA腎症、メサンギウム増殖性腎炎、膜性腎症、膜性増殖性腎炎、ネフローゼ症候群などがある。

慢性腎不全とは

慢性腎炎や糖尿病性腎症などの疾患で一旦機能を失った糸球体は回復することはなく、残りの糸球体が機能をカバーするが、症状の進行とともに腎臓の機能も低下していく。腎臓の機能低下が進み、回復の見込めなくなった状態を慢性腎不全と言う。

慢性腎炎・慢性腎不全の症状と経過

慢性腎炎の初期の自覚症状は無く、健康診断などの尿検査でたんぱく尿、血尿がみられる程度である。進行すると血液検査で高窒素血症を認め、慢性腎不全の状態となり、倦怠感、易疲労性、むくみ、高血圧、貧血、食欲不振、夜間多尿、頭痛などの症状が現れる。

さらに進行し、腎臓の働きが正常時の10%以下となると、老廃物や毒素が体に貯まり尿毒症を発症する。尿毒症になると慢性腎不全の症状に加えて肺水腫、心不全などの循環障害や出血症状、けいれんなど全身に様々な症状が起こり、持続する高血圧から心臓病や脳血管障害なども合併しやすい。

慢性腎炎・慢性腎不全の治療

十分なエネルギーの摂取と塩分、水分、たんぱく質、リン、カリウムの摂取制限による食事療法、高血圧など慢性腎炎や慢性腎不全に伴って起こる症状に対しての薬物療法が行われる。日常生活においても感染症への留意や過度な運動や仕事を控え、ストレスや疲れを溜めないようにすることが必要となる。

慢性腎不全が進行し、尿毒症の症状が全身の各臓器に及ぶようになると、人工的に血液の濾過を行う透析療法が不可欠となり、血液透析、持続携帯腹膜灌流法などが行われる。