心筋梗塞

心筋梗塞とは

心筋(心臓の筋肉)に血液や酸素を運ぶ働きをしている冠状動脈が動脈硬化を起こして血管の内側が狭くなること、あるいは冠状動脈の激しい収縮によって血行障害が起こると、心筋は虚血状態となり、これは虚血性心疾患と言います。

虚血性心疾患に分類される心筋梗塞は虚血状態が長時間続き、心筋が壊死することを言います。壊死した心筋は働かないため、心臓の機能は著しく低下し、予後は不良となります。発症時に重篤な不整脈を伴う場合もあり、約25%は死に至ると言われています。

心筋梗塞は発症からの時間経過で病名が異なり、発症から3日以内に発症し足した場合は急性心筋梗塞と呼び、発症から30日以上経過し、壊死が腺維化し、症状が安定した状態のことを陳旧性心筋梗塞と呼びます。

心筋梗塞の原因

心筋梗塞を起こす原因は動脈硬化による血管内側の狭窄が原因であると言われており、特にコレステロールを含む粥状硬化巣によるものが多いようです。粥状硬化巣の出血や潰瘍が原因となって血栓を生じると、血管が塞がれて冠状動脈の血流は悪くなり、冠状動脈の血流が完全に途絶えると心筋梗塞になります。

また、高血圧や脂質異常症、糖尿病、痛風といった生活習慣病の患者は動脈硬化を促すため、心筋梗塞になりやすいと言われており、他には肥満、運動不足、ストレス、飲酒、喫煙なども危険因子とされています。

心筋梗塞の症状

症状としては突然に起きる強烈な胸の痛み、息苦しさ、動悸、呼吸困難、吐き気・嘔吐があり、奥歯や下あご、背中やみぞおち、首に痛みが広がることもあります。また、急に意識不明になることもあり、そのまま死にいたる場合もあります。
糖尿病患者や高齢者の場合、痛みが発生しない無痛性心筋梗塞も見られ、この場合は本当に痛みがないのではなく、痛みが脳に伝達しにくい影響から痛みを感じないという考え方の方が正しいようです。
陳旧性心筋梗塞は症状が安定している状態ではありますが、慢性心不全を発症するリスクが高いと言われています。

心筋梗塞の予防

心筋梗塞によって広範囲の心筋が壊死した場合は救命されたとしても不整脈や心不全の後遺症が出やすいため、早期での発見が重要であり、生活習慣を見直して、
・禁煙や飲酒の量を減らす
・バランスの良い食生活を送る
・有酸素運動を行う

などの日常生活から予防することを常に意識する必要があります。

心筋梗塞の治療法

バイパス手術

狭窄された冠動脈に対して、身体の他の部の血管(胃部、胸部、足の静脈部)を使用してバイパス(迂回路)を作り、虚血状態を防ぎます。薬物療法で効果が無かった、またはカテーテル治療が困難、不可能な場合に行うことがあります。

薬物療法

血管に詰まった血栓を血栓溶解薬を溶かします。改善率は70%と治療効果は高いですが、胃潰瘍などの治療で止血が必要な血栓まで溶かしてしまう可能性があります。

風船療法

カテーテルと呼ばれる細い管を冠動脈の入口まで通し、その管の中に細い針金を狭窄した血管まで送り込みます。その後にバルーンを狭窄部まで送り、バルーンを拡張させることで狭窄した血管を押し上げることで狭窄した血管を広げ、ステントと呼ばれるコイル状の金属で再度狭窄しないように内側から支えます。