大腸がん

大腸がんとは

大腸がんはがんの生じる部位によって名称が異なっています。例えば、結腸(上行結腸、横行結腸、下行結腸、S状結腸)にできれば結腸がん、直腸にできれば直腸がんとなります。特に、S状結腸と直腸にがんができやすく、大腸がん全体の約3/4がこの2つの部位に生じます。欧米に多いと言われていた大腸がんだが、近年、日本においても結腸がんが増えてきています。この原因として、日本においても動物性の脂肪が多く含まれている食事が広まってきたことが考えられています。大腸がんの発生原因は遺伝子的な観点からかなり詳細に解き明かされてきています。

大腸がんの進行度と分類

大腸がんは進行度により、早期大腸がんと進行大腸がんに分けられます。早期大腸がんとはがんの広がりが腸壁の粘膜内や粘膜下層までに留まっているものを指し、進行大腸がんとはがんの広がりが粘膜下層の下の筋層まで達し、リンパ節や血管への転移が考えられる状態のものを指します。

早期大腸がんはがんの表面の形状によって呼び方が異なり、隆起型と表面型に分類される。さらに、表面型には隆起型、平坦型、陥凹型の3種類がある。早期大腸がんは隆起型が多く、大腸ポリープががん化することによってできる場合が大半を占めます。

大腸がんの症状

下行結腸、S状結腸などの左側結腸と直腸がんの初期症状は血便、粘血便などの下血である。がんが進行し、腸管が詰まる(内腔狭窄)と便が通じなくなり、腸閉塞による痛みを伴うこともあります。通常、がんが周りに広がるまでは痛みを伴わないことが多い。一方、上行結腸などの右側結腸は初期症状が無く、進行大腸がんになってから、右下腹部のしこり、貧血、黒い便、下痢などの症状が見られることが多いです。

大腸がんの危険性がある症状

こちらでは生活習慣・症状から大腸がんの可能性がある内容を記載しております。

生活習慣

・野菜や果物を基本は食べない。
・魚よりは肉をよく食べる。
・お酒は毎日飲むほうだ。
・運動は嫌いだ。

症状

・血便が出ることがある。
・下痢と便秘を繰り返している。
・便が残っていると感じることがある。
・日頃からお腹が張っている。
・肛門の病気を持っている。
・糖尿病と診断された。
・食欲がなくなった。
・激しい腹痛を感じることがある。


これらの症状が複数出ているのであれば、大腸がんの危険性、または他の疾患の危険性がありますので病院にて診断していただくことをお勧めいたします。

大腸がんの治療法と予防策

大腸がんの治療のほとんどは手術によって行われ、早期がんの場合は治療成績も優れています。直腸がんにおいても7割以上は手術後に人工肛門をつける必要はありません。
早期の大腸がんは大腸ポリープのがん化が最も多く、腫瘍が2cm以内で腸の粘膜外への浸潤がなければ、内視鏡を用いて開腹せずに手術ができます。
このように早期発見により、手術による体の負担を大幅に減らすことができます。また、40歳以上の方は便の潜血検査や腸の造影検査を受けて、大腸がんの早期発見に努めることをお勧めいたします。

内視鏡治療

早期の大腸がんでリンパ節に転移せず、深達度が粘膜にとどまっている場合に内視鏡を使ってがんを切除する治療法です。

メリット

大腸内部を直接的に目で確認することが可能で、病変を摘出し、詳しく診断できます。また通常は痛みなどもなく合併症を起こすことが少ないです。

デメリット

腸の曲がっている部分やひだのうちに隠れている時はすべてを切除できない場合もあり、 がんが残っていた時やリンパ節への転移の可能性がある場合は追加の外科手術が行われる。

外科手術

大腸がんの主な治療法としては外科手術による切除になります。 早期のがんであっても転移の可能性があります。リンパ節も併せて切除するンパ節郭清を合わせて、腸切除の手術を行います。

腹腔鏡手術

外科手術の内で最近では、腹腔鏡下手術という術法も適応される場合もあります。腹部に小さな孔を作って、 器具(カメラと切除器具がついたもの)を挿入してがんを切除します。

メリット

通常の手術に比べて創が小さく、体への負担も小さい。手術後の痛みも少なく入院期間が短いです。

デメリット

切除範囲の広い場合やがんが発達した場所によっては適合できません。

大腸がん・外科手術の留意点

直腸がんの場合は周囲にある膀胱や前立腺等へ浸潤している場合には、骨盤内臓の全摘出を行う場合があり、 周囲の神経や筋肉を一緒に切除した手術後は排尿、排便等に機能障害が起こる場合があります。
大腸がんの手術後は縫合不全、創感染、腸閉塞などの合併症が発生する場合がありますので、担当医との連携を密にいたしましょう。

放射線治療

高エネルギーX線を体外から照射し、がんを小さくしたり、転移したがんの痛みを緩和するために使用です。

メリット

直腸がんでは手術前に照射することでがんを小さくすることが可能です。また骨盤からの再発を抑制する効果があり、 骨盤内のがんによる痛み等の症状緩和にも使用されます。

デメリット

放射線を受けた部位に副作用として膀胱炎・肛門痛があり、全身の症状として嘔吐・だるさなどが強く出たりすることがあります。( 個人差がありますが数週間で改善します)

化学療法(薬物療法)

患者様の体力が少なく、手術に対応が難しい場合などに用いられる治療法です。

メリット

放射線治療と平併することで、生存期間を延ばすことが可能です。手術後の再発予防や初期のがんへの使用に有効性があります。

デメリット

抗がん剤、単独の使用での完治はまれです。副作用での食欲不振・倦怠感・体力の消耗などが起こります。

大腸がんの入院期間や費用

入院期間や費用はあくまでも目安となります。病状によっては、入院期間や費用が変わる可能性があるため病院にてご確認ください。

※1 現役並み所得者…70歳以上の高齢受給者のうち、標準報酬月額が28万円以上の被保険者とその被扶養者です。
(被保険者が70歳未満の場合は、その被扶養者である高齢受給者は、現役並み所得者とはなりません)ただし、高齢受給者の被保険者・被扶養者の年収合計額が520万円(高齢受給者である被扶養者がいない場合は383万円)未満であるときは、申請により2割負担(ただし、誕生日が昭和14年4月2日から昭和19年4月1日までの方は1割負担)となります。
被扶養者が後期高齢者医療制度の被保険者となったときでも、被扶養者であった方の年収と併せて計算できます。

(注1)健康保険適用時の一部負担金の割合


保険証等を提示して保険医療機関で医療を受けたときや保険薬局で薬の調剤をしてもらったときは、保険医療機関等の窓口でかかった医療費の一部を支払います。これを一部負担金と言い、本人・家族、入院・外来に関わらず、年齢等によってその負担割合が区分されています。

平成26年3月31日以前に70歳になった被保険者等(誕生日が昭和14年4月2日から昭和19年4月1日までの方)については、引き続き一部負担金等の軽減特例措置の対象となるため、平成26年4月1日以降の療養に係る一部負担金の割合は1割のままです。

※現役並み所得者…70歳以上の高齢受給者のうち、標準報酬月額が28万円以上の被保険者とその被扶養者です(被保険者が70歳未満の場合は、その被扶養者である高齢受給者は、現役並み所得者とはなりません)。ただし、高齢受給者の被保険者・被扶養者の年収合計額が520万円(高齢受給者である被扶養者がいない場合は383万円)未満であるときは、申請により2割負担(ただし、誕生日が昭和14年4月2日から昭和19年4月1日までの方は1割負担)となります。

※被扶養者が後期高齢者医療制度の被保険者となったときでも、被扶養者であった方の年収と併せて計算できます。

(注2)高額療養費制度について

高額療養費とは、1ケ月(月初から月末まで)にかかった医療費の自己負担額が高額になった場合、一定の金額(自己負担限度額)を超えた分が後で払い戻される制度です。 その際に必要な書類として、健康保険高額療養費支給申請書が必要であり、70歳未満の方で医療費が高額になることが事前に分かっている場合は限度額適用認定書を提出する方法が便利です。

詳細は全国健康保険組合のホームページにて掲載されております。