骨の悪性腫瘍(脊椎を除く)

骨の悪性腫瘍とは

骨の悪性腫瘍を大別すると原発性悪性腫瘍と言われる骨自体に生じるものと、続発性悪性骨腫瘍と言われる他の部分から骨に転移したもの(転移性骨腫瘍ともいう)の2種類があります。

骨の悪性腫瘍の種類

原発性悪性骨腫瘍

臓器などの上皮組織に発生する悪性腫瘍ががんと呼ばれるのに対して、間葉系組織である骨に発生する悪性腫瘍を肉腫と呼ぶ。原発性悪性骨腫瘍の発生率は100万人の人口に対して年間4人程度であり、がんに比べれば極めて低い。原発性悪性骨腫瘍は以下のように分類される。

骨肉腫

骨肉腫は腫瘍細胞そのものが骨を形成する原発性悪性骨腫瘍である。大腿骨遠位部や脛骨近位部などの膝関節周辺や上腕骨近位部で発生する事が多い。日本では人口100万人あたり2人程度の発生率で、年間約200人が新たに発症すると言われている。性別では男性に多く、年代別では10歳代が最も多い傾向にある。

軟骨肉腫

腫瘍細胞が軟骨を形成する原発性悪性骨腫瘍である。骨軟骨腫や内軟骨腫などの良性骨腫瘍から二次的に発生する事もある。四肢近位部である大腿骨や上腕骨、肋骨や骨盤に発生する事が多い。軟骨肉腫はゆっくりと拡大する事が多く、骨肉腫ほどの転移はみられない。骨肉腫に次いで発生率の高い原発性悪性骨腫瘍であり、年代としては中高年(30歳以上)に多くみられる。

ユーイング肉腫

急速に進行する悪性度の高い原発性悪性骨腫瘍である。四肢の付け根付近の骨や体幹の骨(肋骨、骨盤など)に発生しやすく、発熱などの症状をともなう事もある。肉腫の中で発症例が3番目に多く、年代としては10歳前後から20代に多くみられる。

その他の原発性悪性骨腫瘍

上述の代表的な3種類の肉腫に加えて、血管肉腫、線維肉腫、悪性線維性球腫、アダマンチノーマ等の疾患が知られている。

続発性悪性骨腫瘍

続発性悪性骨腫瘍は転移性骨腫瘍とも言われ、内臓など他の部位に生じたがんや肉腫が骨に転移したものである。原発性悪性骨腫瘍と比較して、発症の頻度が非常に高い疾患である。特に肺がん、乳がん、前立腺がん、甲状腺がん、腎がんなどが骨に転移しやすいがんとされている。

骨の悪性腫瘍の診断

医師の診察、血液検査、画像検査などの臨床診断による知見を総合する事によって病態をほぼ推定できるが、診断の確定には病巣の組織や細胞を顕微鏡などで直接調べる病理検査を行って治療の方法を決定します。

骨の悪性腫瘍の治療

悪性骨腫瘍の治療には局所的な治療である外科療法(手術)と放射線療法、全身的な治療となる化学療法があります。原発性悪性骨腫瘍の治療においては外科療法が最も重要な役割を果たしますが、悪性度が高い腫瘍(ユーイング肉腫など)の場合や転移がみられる場合には化学療法などの全身的な治療が必要となります。最も発症例が多い骨肉腫の治療においては、近年の手術方法や化学療法の進歩によって、病後の経過(予後)が大幅に改善されています。

外科療法(手術)

悪性の骨腫瘍の基本治療は外科手術により、腫瘍部分を完全に切除し、切除した部分の骨や関節を再建することです。悪性腫瘍に関しては、転移の危険性もあることから正常組織で悪性腫瘍を包み込むように切除する広範切除を用いて手術します。,2ヶ月間内服続ける。(約7割の方が改善)

放射線療法

骨内腫などの原発性悪性骨腫瘍では腫瘍の大きさや発生した場所によって危険なく広範切除できない場合、放射線にて腫瘍を小さくする目的で、手術前、手術後と補助的な治療法として使う場合があります。ユーイング肉腫では放射線治療の効果が高いとされています。手術の難しい部位に発生した腫瘍の局所治療法として手術の代わりに用いられる場合もあります。

学療法(抗がん剤治療)

骨内腫やユーイング肉腫には有効とされ、原発巣の外科手術前と手術後に抗がん剤治療を用いて腫瘍を小さくさせ、極小な転移巣を根絶させることを目的とします。また、再発や他の臓器へ転移した原発性悪性腫瘍の患者様には病巣を縮小させたり、進行を遅らせることを目指します。抗がん剤治療では患者様の個人差はありますが、倦怠感、嘔吐などの色々な副作用が発生しますので、治療の効果を危険性と鑑みて実施されます。