熱中症予防のためのTIPS
熱中症とは
熱中症とは、気温や湿度が高い環境下で体温の調整がうまくいかず、体内に熱がこもった状態をいいます。
屋外だけでなく、室内で何もしていないときでも発症することがあります。熱中症になってしまったら、救急搬送されたり、場合によっては死亡することもあります。
熱中症指標
熱中症のなりやすさを示すためには、暑さ指数(WBGT=Wet-bulb Globe Temperature、湿球黒球温度)が用いられています。
暑さ指数はアメリカに1957年に提唱されました。人体の熱収支に与える影響の大きい①気温、②湿度、③輻射熱の3つの要素を組み合わせたものです。単位は「℃」となりますが、気温とは異なります。
指数によっては、安全、注意、警戒、厳重警戒、危険という5段階に分けられており、熱中症予防のための日常生活活動や運動の指針に用いられています。
安全
通常は熱中症の危険は小さいですが、適宜水分・塩分の補給は必要とされています。ただし、市民マラソンなどでは、この段階であっても熱中症が発生する可能性がありますので要注意です。
注意
一般に熱中症になる危険性は少ないですが、激しい運動や重労働時には熱中症による死亡事故が発生することもありますので要注意です。
熱中症の兆候に注意するとともに、運動の合間に積極的に水分・塩分を補給しましょう。
警戒
運動や激しい作業をする際は定期的に充分な休息を取り入れましょう。積極的に水分・塩分を補給した方が良いです。
激しい運動では、30分おきくらいに休憩をとりましょう。
厳重警戒
外出時は炎天下を避けて、室内では室温の上昇に注意しましょう。
熱中症の危険性が高いですので、激しい運動や持久走など体温が上昇しやすい運動は避けた方が良いです。10~20分おきに休憩をとり水分・塩分の補給を行いましょう。暑さに弱い人は運動を中止すると良いです。
危険
高齢者においては安静状態でも熱中症が発生する危険性が高いです。外出はなるべく避け、涼しい室内に移動すると良いです。
特別の場合以外は、運動を中止するのをおすすめです。特に子どもの場合には運動を中止すべきです。
熱中症の症状
熱中症の症状は、体温の上昇やめまい、けいれん、頭痛などです。
症状は重症度によって異なっています。
現場での応急処置で対応できる軽症
軽症の熱中症は、脳への血流が瞬間的に不十分になったことで生じる立ちくらみ、筋肉痛、発汗に伴う塩分の不足で生じるこむら返り、大量の発汗などの症状があります。
病院への搬送を必要とする中等症
頭痛、気分の不快、吐き気、嘔吐、倦怠感、虚脱感があれば、病院へ搬送が必要となります。
入院して集中治療の必要性のある重症
意識障害、けいれん、手足の運動障害、高体温がある場合は、入院と集中治療が必要です。
熱中症予防対策
熱中症を予防するためには、以下のようなことに気をつけましょう。
暑さを避ける
外出時はなるべく日陰を歩いて、帽子や日傘を使いましょう。
室内では、ブラインドやすだれで直射日光を遮ったり、扇風機やエアコンで室温・湿度を調整すると良いです。
服装を工夫
外からの熱の吸収を抑え、体内の熱をスムーズに逃がす服装は理想的です。素材は、吸収性や通気性の高い綿や麻などがいいです。また、熱がこもらないよう、襟ぐりや袖口があいた服装はおすすめです。
こまめな水分補給
暑い日は知らずしらずのうちに汗をかき、体内の水分が失われていきます。のどが渇く前からこまめに水分を補給しましょう。ただし、カフェインが多く含まれている飲み物(コーヒーや緑茶など)、またアルコール類は利尿作用がありますので避けた方が良いです。
汗をかくと、ミネラルやビタミンも失われますので、ミネラル補給も大事です。麦茶などはおすすめです。
スポーツ飲料は水分とミネラルを同時に補給できますが、糖分が多いため、飲み過ぎにならないように注意しましょう。
暑さに備えた体作り
日ごろから、バランスの良い食事やしっかりとした睡眠をとり、暑さに負けないじょうぶな体をつくりましょう。
ウォーキングやランニングなどの運動習慣を身につけることも、予防法の一つです。日頃から暑さに身体を慣らしておきましょう。
熱中症の応急処置
立ちくらみ、筋肉のこむら返り、体に力が入らない、呼びかけへの反応がおかしい、体が熱いなどのような症状がみられた場合は、熱中症が疑われます。
そのような場合は、応急処置が必要です。
涼しい環境に移す
風通しの良い日陰や、クーラーが効いている室内に移動が大事です。
脱衣と冷却
衣類を脱がせて、体内の熱を外に出します。
露出させた皮膚に水をかけて、うちわや扇風機などで仰いだり、氷嚢で首やわきの下、太ももの付け根を冷やし、体温を下げましょう。
水分と塩分を補給する
冷たい水、特に塩分も同時に補えるスポーツ飲料などを飲みましょう。
意識障害、吐き気や嘔吐の症状がある場合は、水分が気道に流れ込む恐れがあり、胃腸の動きが鈍っていると考えられますので、口から水分を入れることは避けましょう。
医療機関に受診
意識がない、呼びかけに対する返事がおかしい場合は、すぐに救急車を呼びましょう。
水分を自力で摂れない場合も、医療機関へ行くべきです。
また、水分を自分で摂れ、必要な応急処置を行ったにもかかわらず、症状が改善しない場合も、医療機関に行きましょう。