脱臼・捻挫

脱臼・捻挫とは

内骨格において骨と骨とを連結する役割りを担うのが関節である。外力によって、過度の運動を強制され、その骨のお互いの位置関係が正常な位置から外れ、皮下組織、靭帯、関節包などが損傷された状態を脱臼と言い、関節面の位置が正常に保たれている状態を捻挫と言う。

脱臼・捻挫の分類

脱臼は先天性脱臼と後天性脱臼とに分けられ、さらに後天性脱臼は外傷性脱臼、病的脱臼、反復性脱臼、随意性脱臼に分類される。
また捻挫は関節を構成する靭帯や関節包、皮下組織で生じる捻挫は軽度の伸長から靭帯の断裂まで様々である。靭帯の損傷度によって、靭帯の小線維の断裂のⅠ度、部分断裂のⅡ度、完全断裂のⅢ度に分けられる。

脱臼の原因

先天性脱臼はよく見られる股関節のほか、まれに肘関節、膝関節なども見られる。
外傷性脱臼は全身の関節に見られ、肩鎖関節、肩関節、肘関節、指関節などの上肢に多い。また下肢の関節は自動車運転中の交通事故で体が固定される中、強い衝撃を受けるので骨折を伴った脱臼を生じことが多い。

病的脱臼は化膿性関節炎で関節内に膿が溜まることで、関節包が過度に引き伸ばされ脱臼するもので、骨の破壊も伴うことがある。また関節リウマチで炎症のため、靭帯や関節包が緩んで脱臼が生じることがある。

反復性脱臼は外傷性脱臼を起こし、損傷を受けた靭帯、関節包、筋肉、関節唇など関節を支える組織の修復が不十分な場合に生じ、軽微な外力で脱臼を繰り返す。特に肩関節はあらゆる方向に運動が可能であるが、上腕骨頭と肩甲骨の関節窩との関節自体の構造が脆弱のため、その周りの筋肉や靭帯によって補強されている。これらの組織に断裂や損傷が起こると反復して脱臼が生じやすくなる。

随意性脱臼は自分の意志で脱臼し、整復できる状態のもので肩関節に多い。

脱臼・捻挫の症状

脱臼によって、痛み、骨の突出や皮膚の凹みなどが見られる。また捻挫は関節部に痛み、腫れ、運動時痛があり、Ⅱ度以上では歩行不能や関節の動揺性などの機能障害が見られる。

捻挫の治療

捻挫は足関節部の足首と指関節に多く生じる。特に足首は全体重を支える部分なので、捻挫が生じやすく、完治しにくい。靭帯の損傷程度によっては繰り返して起こることがあるので、安易に放置すると大きな機能障害を残すことがあるので、初期の処置が大切である。