誤嚥性肺炎
誤嚥性肺炎とは
つうじょうは食べ物や飲み物を飲み込むと食道へと送られていきますが、飲食物や唾液が食道ではなく、誤って気管や気管支に入ることを誤嚥と言います。誤嚥は食事の際だけではなく、不顕性誤嚥と呼ばれ、睡眠中に唾液や胃液が逆流して起こるケースも多いです。
口腔内の細菌が誤嚥により、唾液や胃液と共に肺に入って起こる肺炎を誤嚥性肺炎と言います。高齢者の場合は不顕性誤嚥による誤嚥性肺炎が多いです。
誤嚥性肺炎の原因
食べ物を飲み込む際には、唾液や食塊を食道へと送り込むために嚥下反射が働きます。誤って唾液などが気管に入った場合は、気管に入った異物を外に出そうと激しく咳き込む反射が起こります。
しかし、高齢者の場合は嚥下反射や咳き込む反射が低下しており、気付かないうちに口腔内の細菌が唾液とともに気管へ侵入し、気管に異物が流れ込んでも外へ出すことが難しい場合があります。
体力、免疫力、抵抗力が低下している高齢者は気管から肺に入り込んだ細菌によって、肺炎を引き起こしやすく再発を繰り返します。何度も肺炎を繰り返すと抗生物質に対する耐性菌が発生し、治療が困難になり死亡原因となる場合があります。高齢者のほか、脳血管障害などの神経疾患がある場合も誤嚥性肺炎のリスクが高くなります。
誤嚥性肺炎の症状
肺炎により酸素低下を起こし、呼吸不全になることもあります。咳や高熱、痰などの症状が出るが、高齢者では症状がでない場合もあるので、元気がない、食欲がない、息切れがするなどの症状がないかご注意ください。
誤嚥性肺炎の治療と予防
誤嚥性肺炎の治療は肺炎の原因となる細菌に効く抗生物質を使用します。誤嚥性肺炎は治っても繰り返し発症するため予防が重要です。
・口腔ケアを毎日行い、口腔内の細菌を減らし、口の中を清潔に保つ。
・食事は体を起こしてしっかり覚醒した状態で摂り、食後は胃液の逆流を防ぐために2時間程度座位をとる。
・リハビリテーションを行って、全身の体力向上や嚥下リハビリテーションによる嚥下機能低下の予防を図る。
・寝たきりの方の場合は誤嚥を防ぐために30度のベッドアップ姿勢をとる。
・栄養状態を改善して体力や免疫力、抵抗力の低下を予防する。
などが有効な予防策です。