知っていそうでみんな知らない、ぎっくり腰のすべて

ぎっくり腰とは

ぎっくり腰は、急に起こった強い腰の痛みです。
朝起きた直後や何もしないで起こることがありますが、多くの場合は以下のような動作や行動をした時に発生します。
・急に重いものを持ち上げようとした時
・重いものを持った状態で上半身をねじった時
・腰をねじる動作をした時
・無理に前かがみの姿勢になった時
・背中を勢いよく反らした時
・くしゃみをした後
・朝起き上がろうとした時

ぎっくり腰は急性腰痛症、腰椎捻挫症とも呼ばれることがあります。ただし、ぎっくり腰とは病名ではなく、「頭痛」や「坐骨神経痛」などと同様に症状を示している名称です。

ぎっくり腰の大きな特徴は、繰り返されることです。一度発生したら、再発しやすいため、日々の日常生活にて気を付けなければいけません。

ぎっくり腰の原因

ぎっくり腰の原因は大きく分けて3つあります。

椎間板損傷

重いものを持ったり、急にねじったりして椎間板に強い衝撃などが加わると、椎間板の外側にある線維輪に亀裂ができてしまいます。その亀裂から椎間板の中心にある髄核が外に漏れ出て、炎症となり、激痛を引き起こす原因になります。
炎症は放っておいても自然に治まりますが、損傷してしまった線維輪が自然には治りません。そのため、ぎっくり腰が繰り返されます。

椎間関節障害

背骨にある椎間関節が損傷して、炎症が起きたら、強い痛みを生じます。これは椎間関節障害といい、ぎっくり腰の一つの原因になります。

筋膜・筋肉の損傷

脊柱起立筋や多裂筋、腰方形筋など、腰を動かしたり支えたりしている筋肉に生じた肉離れや筋肉を覆っている膜に損傷が発生して一瞬にして急激な痛みが発生することがあります。これもぎっくり腰の原因の一つです。

ぎっくり腰の症状

ぎっくり腰の症状は腰周辺の痛みだけになります。急に重い物を持ち上げた時、腰をねじる動作をした時、無理に前かがみの姿勢になったり背中を反らしたりした時などに発生します。
ぎっくり腰の度合いによっては、痛みの感じ方が異なったりします。軽度の方は、歩けるけど反れない、前屈みがしづらいなどのように、一部の動作ができなくなります。中等度の場合は、じっとしていてもズキズキした痛みが出るが、なんとか歩けたり動けたりします。重度のぎっくり腰の場合は、身動きがとれなくなってしまいます。

ぎっくり腰の治療

初期対処

ぎっくり腰が発生したら、まずは安静が必要となります。横向きに寝て、腰を丸めた姿勢は楽です。このような時は無理に動くと、かえって症状を悪化させてしまいますので、ぎっくり腰の初期の頃は安静が第一です。
安静している間は、湿布薬などで痛みを和らげるのが良いです。ぎっくり腰は炎症を起こしている場合があり、消炎作用のある冷湿布で対応しましょう。
安静中は、マッサージなどをしてはいけません。自分で、または家族が自己流で患部をマッサージすれば、悪化の原因となりますので、要注意です。

痛みが落ち着いてから、受診を

2~3日して痛みが落ち着いてきたら、少しずつ、無理のない程度で歩くようにしましょう。
また病院を受診し、検査を受けることも大事です。病院では原因を調べてもらい、適切な治療を受けることが大切です。

ぎっくり腰の予防方法

ぎっくり腰の発症に日常生活が深く関わっていますので、日々の生活習慣に気を付けていけば、ぎっくり腰の発生や再発を予防できます。

インナーマッスルを鍛えるストレッチ

ぎっくり腰の予防には、体の深部にある腹横筋や多裂筋などのインナーマッスルを使って脊柱起立筋を鍛えて負担を軽くすることが有効とされています。ドローイングは多少の痛みがあっても行えるエクササイズです。
筋肉を柔らかくすることにより、筋肉に柔軟性が生まれ、ぎっくり腰を予防できます。

姿勢の見直し

日常的に不良姿勢が繰り返されると、ぎっくり腰になりやすくなります。次のようなことを意識して姿勢を改善しましょう。
・椅子に座る時は、深く座ってお尻を背もたれにつける
・床に寝ないで、必ず布団やベッドに寝る
・足を組まない。もし足を組んでしまったら、逆の方でも同じ時間組むようにして、左右のバランスを調整する
・横座りを避ける
・仕事等で長時間座ることが多い場合は、腰にクッションを挟むようにする。また定期的に休憩をして立ったり歩いたりする

食生活の見直し

暴飲暴食、甘い物・油物・塩分の食べ過ぎ、夜遅くの食事が多い場合は、内臓の疲労や体重増加につながり、ぎっくり腰になりやすくなります。
食生活を改善することで、ぎっくり腰を予防できます。食事を腹八分までにして、甘い物・油物・塩分を控えめにして(それぞれ週1回までに抑えるのがベスト)、就寝前の2時間以内は何も食べない、などをしましょう。

ストレスの解消

ストレスはぎっくり腰のみならず、あらゆる病気が発生しやすくなってしまいます。ストレスをしっかりと解消することが大事です。
1日は仕事をする時間、リラックス時間を作り、気持ちを切り替えましょう。
「こんなことを思って私がダメだ」などのように自分の感情や存在を否定しないようにしましょう。