冬の名物・牡蠣!牡蠣にあたる人とあたらない人って何が違うの?

牡蠣にあたる原因
冬の名物と言えば、「牡蠣」が思い浮かぶことが多いでしょう。牡蠣を食べたいが、食あたりが心配という方も少なくありません。
まずは牡蠣にあたる原因が何かを解説します。
ノロウイルス
よくある原因として、ノロウイルスがあります。
下水処理の際に処理しきれなかったノロウイルスは川や海に流れ出て、牡蠣の体内にとどまります。このような牡蠣を食べると、ノロウイルスを発症してしまいます。
ノロウイルスのピークは1月~2月であり、牡蠣もその時期に旬を迎えますので、冬の牡蠣が原因でノロウイルスになるケースが多いです。
腸炎ビブリオ
腸炎ビブリオは、魚介類を食べて直接起こる一次汚染や、調理器具を介した二次汚染によって感染します。腸炎ビブリオが発生する時期は5月からで、ピークは7月~9月ですが、加熱処理が足りない場合は、冬場でも発生することがあります。
食べた牡蠣に腸炎ビブリオが付着していれば、それを食べると腸炎ビブリオに感染して食あたりになります。
貝毒
貝毒とは牡蠣が作り出しているわけではありません。牡蠣が、海水中に生息している有毒なプランクトンを食べることでその体内に毒素がたまります。毒素が含まれた牡蠣を食べること、牡蠣にあたってしまいます。
貝毒で牡蠣にあたりやすい時期は、プランクトンの出現時期で地域によってプランクトンの種類によっては異なりますが、多くの場合は春から夏です。
牡蠣アレルギー
牡蠣の食あたりの原因には牡蠣アレルギーも挙げられます。
牡蠣を食べると毎回食あたりになる場合は、牡蠣アレルギーのある可能性が高いです。この場合は、症状が牡蠣そのものだけでなく、牡蠣の成分が含まれている食品でも現れますので、要注意です。
牡蠣にあたった時の症状
症状は、原因によって異なったりします。
ノロウイルスの場合
ノロウイルスが原因の牡蠣の食あたりで、38度の高熱、腹痛、激しい嘔吐や下痢、胃もたれ、悪寒などの症状が出現します。一般的には、症状が食後1~日で現れ、1~2日ほど継続します。幼児や身体の抵抗力が落ちている人の場合は、重症化することもあります。
腸炎ビブリオの場合
腸炎ビブリオが原因の場合は、激しい下痢や腹痛が主な症状となります。下痢は1日に数回から数十回になることがあり、血便になることもあります。また、吐き気や嘔吐、発熱があることもあります。高齢者ですと、腸炎ビブリオをきっかけで低血圧や心電図異常になることもあり、過去に亡くなったケースも報告されています。
症状は、食後2~3時間から12時間程で出現して、6時間~24時間ほどで落ち着きます。
貝毒の場合
貝毒が原因の食あたりは2種類があります。
麻痺性の場合は、食後30分ほどで唇や顔面にしびれの症状が現れ始めます。他には、頭痛、めまい、手足のしびれなどの症状もあります。重症化すると、思うように身体が動かなくなる場合もあり、12時間以内に呼吸困難に陥ることもあります。唇・顔面・手足のしびれやなどが主な症状です。
下痢性の場合は、下痢や吐き気、嘔吐などの症状が食後30分~4時間以内に現れます。
一般的には、症状は3日間ほど継続します。
牡蠣アレルギーの場合
アレルギーによる症状は食後1時間~2時間ほどで現れ、腹痛、下痢、蕁麻疹などが特徴です。アレルギーが重い場合は、アナフィラキシーショックが起こることもあり、意識障害や呼吸困難などの命に係わる症状が出る場合もあります。
アレルギーがある場合は牡蠣を食べる度に症状が出ますので、医療機関での受診をおすすめします。
牡蠣にあたる人・あたらない人の違い
牡蠣アレルギーは別ですが、牡蠣にあたりやすい人とあたりにくい人の違いと言えば、「免疫力」がキーワードになります。
ノロウイルスや腸炎ビブリオなどが原因で牡蠣にあたった場合は、免疫力の低下が関係しています。免疫力が下がると、体がウイルスに勝てずに、腹痛や嘔吐、下痢などの症状を引き起こします。
特に子どもや高齢者など、免疫力が弱い方は牡蠣にあたりやすいと言われていますが、体調不良が続いている方、寝不足・不規則な生活をしている方もあたりやすくなる可能性があります。
免疫力が下がっていると、症状も重くなってしまいますので、なるべく牡蠣を食べるのを避けた方が良いです。
牡蠣にあたらないための対策
手をきちんと洗う
手洗いは衛生面で非常に重要です。牡蠣の下処理(砂抜き、中身の取り出し)の際は、その手で他の食材に触れないようにしましょう。手にウイルスが付着している可能性がありますので、牡蠣を触ったあとは必ず手を洗いましょう。また、調理に使用可能な手袋を着用して調理すると良いです。
生食は避ける
水質検査で細菌数の基準を満たした海域で捕獲された牡蠣は生食用で、その海域以外で捕獲された牡蠣は加熱用とされています。加熱用の牡蠣を生で食べることはダメですが、生食用の牡蠣でもノロウイルスが含まれていることがあり、生食をできるだけ控えましょう。
できるだけ加熱して食べる
ウイルスが付着した牡蠣であっても、中心の部分を85℃~90℃で1分30秒以上加熱したら、ウイルスによる感染がなくなるとされています。炭火で十分焼いたり、カキフライや牡蠣鍋などに調理したりすると、感染する可能性が低くなります。
食材や調理器具の取り扱いに注意
牡蠣と一緒に他の食材を調理する時は、包丁やまな板を使い分けましょう。加熱しない野菜などは、牡蠣よりも先に切ると良いです。他の食材が牡蠣に触れてしまった場合、そのまま食べないようにしましょう。きちんと洗う必要があります。牡蠣を調理する際に使用した調理器具は、洗った後に熱湯をかけて消毒するようにしましょう。
牡蠣にあたった場合の対処
下痢や嘔吐を止めない
牡蠣にあたると下痢や嘔吐の症状が多いです。この時は、薬で下痢や嘔吐を止めるのはNGです。下痢や嘔吐は体内の病原体を排出するための自然な働きですので、それを止めようとすると、身体の作用を止めてしまいます。
ただし、下痢や嘔吐を繰り返すと脱水症状になりますので、水分やミネラルの補給をしましょう。
運動習慣を身につける
牡蠣にあたった場合、症状や人によっては病院の受診が必要です。特に高齢者や子ども、何らかの原因で免疫機能が弱い方はなるべく早く受診した方が良いでしょう。
また、3日~4日経っても症状が軽快しない場合や下痢・嘔吐が続いているのに全く水分が取れない方も、病院を受診して医師の判断を仰ぐことをおすすめします。点滴やその他の処置で回復の兆しが見えるかもしれません。
牡蠣にあたった人がいた場合は周囲も注意
ノロウイルスが原因で牡蠣にあたった方がいる場合、他の方にうつる可能性があります。感染者の排泄物や吐物にはノロウイルスが含まれていますので、処理の際は必ずマスクやエプロン、ビニール手袋などをして直接触らないようにしましょう。またノロウイルスにはアルコール消毒液は効きません。消毒には、次亜塩素酸などの塩素系が有効的です。
腸炎ビブリオが原因の場合、汚染した服や寝具は、水道水で洗浄するのが効果的です。腸炎ビブリオは淡水で生きるのが困難ですので、大量の水道水で洗い流しましょう。