脳腫瘍
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脳腫瘍とは
脳腫瘍とは頭蓋内の様々な組織(脳、髄膜、下垂体、血管など)に生じる腫瘍の総称である。頭蓋内に元々生じる原発性腫瘍と他部位の転移によって生じる転移性腫瘍に分けられる。また、良性腫瘍と悪性腫瘍に分類されるが、生じる部位によっては、良性、悪性に関わらず、命に直結することもあります。
脳腫瘍の種類
脳腫瘍の種類によって、発症年齢、進行のスピード、予後、治療効果は様々である。原発性腫瘍の症例数は、転移性腫瘍の約2倍である。脳へ転移しやすい病気として、肺がん、白血病、リンパ腫、胃がん、大腸がんが挙げられる。ここでは代表的な原発性腫瘍を、発生頻度の高いものから順に一つずつ紹介いたします。
神経膠腫(グリオーマ)
原発性腫瘍の中で最も多く、約30%を占める。発生部位、発生頻度、発症年齢、予後が種類によって異なる。発生頻度の高いものから順に、星細胞腫、膠芽腫、髄芽腫、乏突起神経膠腫、上衣腫、松果体腫が挙げられる。この内、星細胞腫、髄芽腫、上衣腫は、小児においても発症することが多い。
髄膜腫
髄膜とは硬膜、軟膜、クモ膜の総称であり、髄膜腫とは、主にクモ膜に発生する良性の腫瘍を指す。原発性腫瘍の約24%を占める。女性に多く、30〜60歳に好発する。腫瘍の進行スピードが遅く、大きくなるまで気づかない場合もある。
下垂体腺腫
下垂体の前葉に発生し、原発性腫瘍の約17%を占める。20〜50歳に好発する。腫瘍によって、ホルモン器官である下垂体が異常をきたし、ホルモンバランスを崩すことがある。腫瘍の進行具合によっては、視神経の圧迫による視力障害が見られることもあるが、予後は良い。
神経鞘腫
良性腫瘍で末梢神経の軸索を包む鞘の部分に発生する。原発性腫瘍の約9%を占め、女性に多く、20〜50歳に好発する。聴神経に発生するため、初期症状として、聴覚低下を引き起こすことがある。
頭蓋咽頭腫
先天性の良性腫瘍で胎児期に存在する下垂体下部の組織から発生する。原発性腫瘍の約4%を占め、小児期に発症するものが多いが、30代にも多く発症する。視力障害、頭痛、嘔吐などの症状が見られる。
髄芽腫
小児に多く発生し、女児より男児により多く見られる。神経膠腫(グリオーマ)の一種で原発性腫瘍の約2%を占める。症状として、頭痛、嘔吐、歩行障害などが見られ、進行スピードが速く、予後も悪い。
脳腫瘍の可能性がある症状
頭痛やてんかん、麻痺、痙攣などの症状がでる場合、脳腫瘍の可能性が出てきます。
脳腫瘍でなくても脳梗塞など別の病気の可能性もありますので、もしこの症状が出るようであれば、病院で診察していただくことをお勧めいたします。
脳腫瘍の治療
腫瘍を手術によって完全に摘出できることがベストであるが、腫瘍の境界が曖昧なため、部分的にしか除去できないことが多く、腫瘍発生部位によっては摘出が全く不可能な場合もある。このような場合は放射線治療と化学療法を組み合わせて治療するケースが多くあります。
外科療法
患部を外科的手術により摘出する治療法です。
- メリット
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良性の腫瘍の完治の可能性が高い治療法です。
- デメリット
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良性であったとしても、手足の運動を司る神経の手術の部分は難しく、すべてを切除できないことがあります。
放射線療法
悪性の腫瘍に適応する治療法で良性の脳腫瘍に用いることもあります。体外から患部に向けて放射線を当て、がん細胞を殺す治療方法です。単独での治療の場合もありますが、他の外科療法や化学療法と合わせて使用するときもあります。腫瘍の境界が明確な場合が適応で、外科手術よりも低侵襲で転移性脳腫瘍に適した治療法とされています。
- メリット
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患者に対して負担が少なく比較的に副作用が少ないため、高齢でも受けやすい。また他から転移した転移性脳腫瘍に効果があります。通院でも治療が可能です。
- デメリット
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放射線障害を避けるため、正常な脳組織を回避して正確に放射線を照射することが必要となります。副作用として、一時的に脱毛や吐き気、頭痛が起きる場合があります。
化学療法(薬物療法)
抗がん剤を用いる治療法で他の治療法と併用して行われます。通常は経口投与、静脈注射ですが、正常細胞がダメージを受けることによる副作用を避けるため、腫瘍にのみ高濃度の薬剤投与する局所投与法があります。
- メリット
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他の治療法と併用することで治療効果を上げることが可能です。
- デメリット
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正常な細胞にもダメージを与えるため、感染症や体の機能障害等が発生する可能性があります。また、脳腫瘍に対しての効果が少ない場合があります。
脳腫瘍の入院期間や費用
入院期間や費用はあくまでも目安となります。病状によっては、入院期間や費用が変わる可能性があるため病院にてご確認ください。
※1 現役並み所得者…70歳以上の高齢受給者のうち、標準報酬月額が28万円以上の被保険者とその被扶養者です。
(被保険者が70歳未満の場合は、その被扶養者である高齢受給者は、現役並み所得者とはなりません)ただし、高齢受給者の被保険者・被扶養者の年収合計額が520万円(高齢受給者である被扶養者がいない場合は383万円)未満であるときは、申請により2割負担(ただし、誕生日が昭和14年4月2日から昭和19年4月1日までの方は1割負担)となります。
被扶養者が後期高齢者医療制度の被保険者となったときでも、被扶養者であった方の年収と併せて計算できます。
(注1)健康保険適用時の一部負担金の割合
保険証等を提示して保険医療機関で医療を受けたときや保険薬局で薬の調剤をしてもらったときは、保険医療機関等の窓口でかかった医療費の一部を支払います。これを一部負担金と言い、本人・家族、入院・外来に関わらず、年齢等によってその負担割合が区分されています。
平成26年3月31日以前に70歳になった被保険者等(誕生日が昭和14年4月2日から昭和19年4月1日までの方)については、引き続き一部負担金等の軽減特例措置の対象となるため、平成26年4月1日以降の療養に係る一部負担金の割合は1割のままです。
※現役並み所得者…70歳以上の高齢受給者のうち、標準報酬月額が28万円以上の被保険者とその被扶養者です(被保険者が70歳未満の場合は、その被扶養者である高齢受給者は、現役並み所得者とはなりません)。ただし、高齢受給者の被保険者・被扶養者の年収合計額が520万円(高齢受給者である被扶養者がいない場合は383万円)未満であるときは、申請により2割負担(ただし、誕生日が昭和14年4月2日から昭和19年4月1日までの方は1割負担)となります。
※被扶養者が後期高齢者医療制度の被保険者となったときでも、被扶養者であった方の年収と併せて計算できます。
(注2)高額療養費制度について
高額療養費とは、1ケ月(月初から月末まで)にかかった医療費の自己負担額が高額になった場合、一定の金額(自己負担限度額)を超えた分が後で払い戻される制度です。 その際に必要な書類として、健康保険高額療養費支給申請書が必要であり、70歳未満の方で医療費が高額になることが事前に分かっている場合は限度額適用認定書を提出する方法が便利です。
詳細は全国健康保険組合のホームページにて掲載されております。
- 参照リンク:
- 全国健康保険組合(高額療養費制度)
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この病気に詳しい医師
福島 孝徳 先生
東京脳神経センター病院 福島孝徳脳神経センター 最高顧問
東京
- 専門分野
- 脳腫瘍(髄膜腫、聴神経腫瘍、神経鞘腫、下垂体腫瘍、頭蓋咽頭腫、脊索腫、類皮腫、類上皮腫、海綿状血管腫、その他の脳腫瘍)
顔面けいれん、三叉神経(片側顔面の激痛を起こす)、舌咽神経痛
脳血管障害(巨大脳動脈瘤、バイパス手術など)
- 診療科目
- 脳神経外科全般
- 相談事例