急性膵炎

急性膵炎とは

膵臓は食べ物を消化するための消化酵素と血糖調節を行うためのホルモンを分泌している臓器であり、急性膵炎とは何らかの要因によって分泌される消化酵素に膵臓自らが溶かされ、炎症・障害が起こる病気です。

急性膵炎は膵臓の炎症と浮腫だけで留まり、軽症で経過する浮腫性膵炎から膵臓だけに留まらず、肺、肝臓、腎臓など周囲の臓器を巻き込んで炎症を起こし、多臓器不全や出血傾向、重症感染症などを合併して死に至る重症のものまであります。

急性膵炎の原因

飲酒と胆石が最も多い原因で、その他、薬によるものや先天的なものや脂質異常症などが原因として挙げられます。中には慢性膵炎の急性増悪によって起こるものもあります。

急性膵炎の症状

最も多い初期症状は上腹部のみぞおち辺りに激しい痛みを生じることがあります。しかしながら、痛みの程度は人によって様々であり、ほとんど痛みを感じない人もいます。

背部痛、吐き気・嘔吐、発熱・悪寒などがみられることもあり、重症急性膵炎では意識障害、呼吸不全、出血傾向、肺水腫、ショック症状、他臓器不全、壊死性膵炎による敗血症などを合併し、命に関わる状態となります。

急性膵炎の予後

軽症の急性膵炎の予後は良好で社会復帰も可能であるが、重症の急性膵炎の死亡率は年々低下傾向にあるものの未だ10%に近い。
重症急性膵炎後は膵臓の機能障害によって糖尿病や消化吸収障害などの後遺症が残り、継続した治療が必要となります。

急性膵炎の治療

絶飲絶食

膵臓の安静のために行う。その際、炎症による影響で大量の水分が失われているため、多量の輸液が必要になります。

血液浄化療法

透析療法とも言われ、2つの濃度の異なる液体をごく小さな穴のあいた膜(半透膜)で仕切り、この穴を通ることのできる物質が濃度の高いほうから低いほうへ移動する拡散と、液に圧をかけて物質を移動させる限外濾過(げんがいろか)によって成されます。

内視鏡を用いた治療法

胆管結石の除去や胆管ドレナージ(管を挿入して、たまった液を吸引する)を使用した治療です。胆石性膵炎の際に行うことが多い治療で専門的な施設での診断・治療が要求されます。

間違えられやすい他の病気

膵臓がん、慢性膵炎