末期がんの最新免疫療法
末期がんについて
がんの発見が遅れ、がんが既に手の施しようのないほどに進行しているケースや標準治療(内視鏡治療、外科手術、化学療法・抗がん剤治療、放射線療法など)を行ったが、効果が無い、もしくは効果が無くなったがん患者に対して他の治療が効くことは稀です。
そのような段階に至った患者の多くは数カ月(余命三ヶ月など)しか生きることができず、手の施しようがない状態を一般的に末期がんと呼びます。
末期がんの最新治療
2015年5月29日に行われたASCO Annual Meetingで、ジョンズホプキンス大学の研究者が遺伝子バイオマーカーの検査により、ミスマッチ修復遺伝子の異常(欠損)があった末期がん患者に対して免疫療法行ったところ、効果があった事を発表しています。
がん患者48人を登録し、治療を受けた患者を3つのグループに分けて検討が行われ結果を下記に記載します。
第一グループ
対象者=ミスマッチ修復遺伝子に欠損を認める進行大腸がん患者13人
治療法=ペンブロリズマブの免疫療法
効果=がんが少なくとも直径30%縮小したことを意味する部分奏効が8人に認められた。長期にわたる病勢の安定が4人に認められ、進行を認めたのは1人であった。
第二グループ
対象者=ミスマッチ修復遺伝子に欠損がなかった大腸がん患者25人
治療法=ペンブロリズマブの免疫療法
効果=25人全員に効果が無かった。
第三グループ
対象者=ミスマッチ修復遺伝子に欠損を認めた大腸がん以外のがん患者10人(胆管・膵がんがん4人、子宮がん2人、小腸がん2人、胃がん1人、前立腺がん1人)
治療法=ペンブロリズマブの免疫療法
効果=1人の子宮がん患者が画像検査でがんがすべて消失した状態である完全奏効となり、部分奏効が5人、安定が1人、進行が3人に認められた。
まとめ
遺伝子バイオマーカーによる検査でミスマッチ修復遺伝子に欠損を認めた末期がん患者さんにペンブリズマブの免疫療法を行ったところ、一定の効果が得られたということになります。