「最近眠れない…」睡眠薬に頼る前にできることと専門家の意見の違い
眠れない時の対処方法
眠らない時はどうしたらよいか、と悩む方が少なくありません。
眠れない時に一番大切なのは、無理に眠ろうとせず、焦らず、まず心身をリラックスさせることです。
リラックスする
軽いストレッチや深呼吸をしたり、ノンカフェインの温かい飲み物をゆっくり飲んだりすると良いです。
また、静かな音楽を聴くことや、間接照明の下で読書をすることも、リラックスできます。
一度寝床から出る
眠れないまま布団で考え事をしているとさらに眠れなくなる場合もあります。
いったん寝床から出て、リラックスできることをして、眠気を感じたら再び布団に入ることをおすすめです。
生活習慣の見直し
不眠にならないように、生活習慣の見直しも重要です。
毎日同じ時間に起床し、同じ時間に就寝するよう心がけましょう。
日中に適度な運動を習慣づけるのも良い睡眠につながります。
快適な明かり、温度、湿度、音など、寝室の環境を整えると良いです。
寝る2時間前までに食事を済ませるようにして、寝る直前のカフェイン、アルコール、喫煙を避けた方がよいです。
また、寝る前にスマホを見るなど、脳が覚醒するようなことは避けましょう。
睡眠薬の服用
眠れない時は睡眠薬の服用も一つの方法です。ただし、服用前は必ず医師に相談して、医師の指示に従うようにしましょう。 睡眠薬は、即効性のある「ベンゾジアゼピン系」「非ベンゾジアゼピン系」、体内リズムを整える「メラトニン受容体作動薬」、覚醒物質を抑える「オレキシン受容体拮抗薬」など、様々な種類があります。
| 睡眠薬 | 主な特徴 |
| ベンゾジアゼピン系 | 寝つきを良くする効果。即効性あり |
| 非ベンゾジアゼピン系 | 入眠促進効果が高く、翌日に持ち越しにくい |
| メラトニン受容体作動薬 | 体内時計を整え、自然な睡眠を誘導する |
| オレキシン受容体拮抗薬 | 覚醒を促す物質の働きを抑え、深い眠りを促す |
睡眠薬の長期使用リスク
睡眠薬を服用する際は、長期使用が要注意です。
長期間を服用し続けると、依存性(精神的や身体的)、耐性(効果減弱)、離脱症状(中止時の不眠・不安悪化)のリスクがあります。
特に高齢者では転倒や骨折、認知機能低下、せん妄(意識が一時的に混乱する状態)のリスクが高まると言われています。
効果が薄れるから薬を増量したり、薬なしでは眠れなくなり薬を止められなくなったりするケースもあります。
睡眠薬以外の選択肢
睡眠薬に不安がある方には、漢方薬の使用やCBT(認知行動療法)などの選択肢もあります。
漢方薬の使用
漢方薬を選ぶ際も、まずは医師や薬剤師に相談して、体質に合うものを決めることが大事です。
漢方薬は、通常の睡眠薬のような即効性がなく、2~4週間程度で効果を感じることが多いです。
漢方薬も副作用(むくみ、血圧上昇、カリウム低下など)が出る場合がありますので、注意が必要です。
| 漢方薬 | 主な特徴 |
| 柴胡加竜骨牡蛎湯、抑肝散など | イライラ、ストレス、神経の高ぶりによる不眠に有効 |
| 酸棗仁湯、加味帰脾湯など | 疲労による不眠に効果的 |
| 真武湯など | 冷えを伴う不眠に効果あり |
認知行動療法
近年注目されてきている、認知行動療法(CBT、Cognitive Behavioral Therapy)は、心理的要因と行動的要因に働きかけ、睡眠を改善していく方法です。
認知行動療法では、寝床にいる時間を短くして睡眠の質を高める睡眠制限法、「早く眠らなきゃ」という不安を和らげる認知の修正、呼吸法やマインドフルネスを含むリラクセーション法などを組み合わせて、眠れない悪循環を断ち切り、良い睡眠習慣を身につけます。
心療内科・精神科・内科のアプローチの違い
眠れない症状に対しては、心療内科・精神科・内科のアプローチも異なります。その違いは不眠の原因がどこにあるかという点にあります。
内科のアプローチ
内科は、不眠の原因が身体的な病気や生活習慣にある場合に適しています。
まずは問診や血液検査などで身体的な異常がないかを確認してから、不眠の原因となっている原疾患の治療を行い、生活習慣改善のアドバイスもされます。必要に応じて睡眠薬が処方されます。
根本原因が身体的でない場合や専門的な治療が必要な場合は、他科へ紹介されることもあります。
心療内科のアプローチ
心療内科は、ストレスや心理的な要因(ストレス、不安、人間関係の悩みなど)による不眠に対処します。
問診を通じてストレス要因を探り、カウンセリングや認知行動療法、必要に応じて抗不安薬や睡眠薬などを用いて、心身のバランスを整える治療を行い、精神的な要因と身体的な症状の両面からアプローチします。
精神科のアプローチ
精神科は、不眠が精神疾患(うつ病、不安障害、パニック障害など)の症状として専門的な治療を行います。
心の病気そのものに焦点を当てて、その背景にある精神疾患に対する薬物療法(抗うつ薬、抗不安薬、睡眠薬など)や精神療法を通じて、根本的な改善を目指します。
専門医の見解を比較する意義
眠れない、不眠でお悩みの場合は、複数の医師による診断(セカンドオピニオン)を受けることもおすすめです。
セカンドオピニオンとは英語の「Second Opinion」で、「第二の意見」と意味をしています。ある病気や症状に対して、多くの医師から意見を聞き、最適な対策を選んでいくのです。
現在診療を受けている医師とは別の医療機関の医師に相談して、最善の治療法を選択できます。