この冬、対策をお忘れなく。インフルエンザ予防について。
インフルエンザとは
毎年、秋から春頃まで流行っているのはインフルエンザです。
インフルエンザは、ウイルスが鼻や喉の上気道などの粘膜に感染して起こる病気です。症状としては、高熱、頭痛、筋肉痛や関節痛などがあります。
抵抗力の弱い乳幼児や高齢者は重症化しやすいです。肺炎や気管支炎、乳幼児では中耳炎や熱性けいれん、脳症などの合併症を起こす場合もあります。もともと呼吸器や心臓の病気、糖尿病、腎臓病、免疫不全などの病気を持つ場合も合併症を起こしやすくなります。
インフルエンザのウイルスは何百の種類が存在すると言われていますが、これらは絶えず少しずつ変異しています。突然大きな変異を起こし、今までと異なるインフルエンザウイルスが流行ることになることもあります。
インフルエンザはどのように感染するか?
インフルエンザに感染してから発症するまでの期間は1~5日です。では、ウイルスがどのようにして感染するのでしょうか。
インフルエンザウイルスの感染経路は2つがあり、これは飛沫感染と接触感染です。
飛沫感染
感染者のくしゃみや咳、つばなどの飛沫と一緒にウイルスが放出します。このような感染者の近くにいたら、そのウイルスを口や鼻から吸い込み感染してしまいます。
飛沫感染の主な感染場所といえば、満員電車、学校や劇場など、多くの人が集まる場所です。
接触感染
感染者がくしゃみや咳を手で押さえた後、その手で周りの物(ドアノブ、スイッチ、電車やバスのつり革など)に触れて、ウイルスが付いてしまいます。別の人がその物に触ってウイルスが手に付着して、その手で口や鼻を触って粘膜から感染してしまいます。
インフルエンザを予防するには、このような感染経路を絶つことが重要です。
インフルエンザと風邪の違い
喉の痛みや咳などの症状は、風邪とよく似ています。ただし、インフルエンザと風邪が違う病気です。
ここでは、インフルエンザと風邪の違いについて説明します。
インフルエンザ | 風邪 | |
発症時期 | 冬季(12月~3月)に流行 | 1年を通じて |
病原 | インフルエンザウイルス | アデノウイルス、ライノウイルス |
主な症状 | 38度以上の発熱、筋肉痛、関節痛、喉の痛みなど | 喉の痛み、鼻水、鼻詰まり、くしゃみ、咳、37度台の発熱など |
症状の進行 | 急激 | ゆっくり |
症状の出る部位 | 全身 | 喉、鼻など局所的 |
潜伏期間 | 2~5日間 | 2~4日間 |
期間 | 1~2週間 | 長くて1週間 |
症状などが似ていますが、インフルエンザの方はより重篤な感染症と言えます。
インフルエンザの治療
インフルエンザにかかってしまったら、抗インフルエンザウイルス薬での治療となります。抗インフルエンザウイルス薬はウイルスの増殖を抑え、発熱などのつらい症状を緩和します。また、乳幼児や高齢者などの重症化を予防するためにも有効といわれています。
インフルエンザを疑うような症状が出て、検査を受けても発症した直後はウイルスの量が少なく、「陰性」の結果が出てしまう場合があります。ただし、抗インフルエンザウイルス薬の使用は、発症してから48時間以内に投与することがベストなため、早めの受診が望ましいです。一度受診し、検査結果が陰性でも症状が続く場合は、48時間以内にもう一度受診し、検査を受けるようにしましょう。
インフルエンザになったら、家で安静にして休むのが良いです。保温対策をして、栄養価の高い食事とこまめな水分補給を心がけましょう。
また、人に移さないための対策も必要です。マスクを着用して、咳エチケットを心がけましょう。
インフルエンザの予防
インフルエンザを予防する方法は、ワクチン接種、日々のケア、ウイルスに負けない体づくりです。
ワクチン接種
インフルエンザは毎年流行っていますので、流行前にワクチン接種をすると、インフルエンザを予防できます。体の弱い方は、ワクチンをしてもかかってしまうことがありますが、その場合は重症化したり、肺炎などの合併症が起こったりすることを予防することが期待できます。
一般的には、ワクチンの効果は接種後2週間~5ヶ月程度です。毎年、インフルエンザの流行季節前に接種することが望ましいといえます。
日々のケア
インフルエンザは人から人に感染する病気です。予防のためには、流行している時期は人混みを避け、手洗い、うがい、マスク着用などによって感染ルートを断つことが大切です。
・人混みに出ない
学校や職場以外、ショッピングセンターや繁華街などの人混みで感染することが多いです。インフルエンザが流行している時期は、不要な外出は避けたほうが安心です。やむを得ず出かける場合は、なるべく短時間で済ませるのが良いです。
・手洗い、うがい
手洗いやうがいは、手やのどなど、体に付着したウイルスを除去するために有効といわれています。インフルエンザに限らず、感染症予防の基本ですので、外出先から戻ったら必ず手洗い、うがいをしましょう。
・マスク着用
人混みに出る場合などは、市販されている不織布製マスクをつけると良いです。ただし、正しく着用することが大事です。また、インフルエンザに感染した人が、周囲にウイルスを拡散しないためにもマスクは有効です。
ウイルスに負けない体づくり
空気中のウイルスを完全に遮断するのは難しいことです。日ごろから感染しないよう体づくりを心掛けた方が良いです。
・温度・湿度のコントロール
空気が乾燥すると、鼻やのどの粘膜が乾燥して体の防御機能が低下して、ウイルスに感染しやすくなります。また、夏場の冷房や冬の寒さなどで体が冷えると、血液循環が悪くなり、ウイルスが侵入しやすくなります。室内の温度や湿度を適度に保って、感染しにくい環境を整えましょう。
・十分な栄養と適度な運動
偏食を避け、バランスよく栄養をとることが大切です。予防効果を高めるためには、体の免疫に欠かせないビタミンCとビタミンB1群、鼻やのどの粘膜を強化する働きのあるビタミンB2、B6を多くとることが大事です。 ウォーキングや水泳、ヨガなどの適度な運動でインフルエンザや風邪に負けない体力をつけ、免疫力を高めることも大切です。