胃がん

胃がんとは

胃がんとは胃の粘膜にできた悪性腫瘍で、わが国におけるがんの死亡率で女性は1位、男性は2位である。尚、胃がんが発症する男女比は男性が女性の約2倍である。

胃がんは胃の大きく膨らんだ大彎側の下部や幽門前庭部の領域にできるものが多く、前者には潰瘍状の陥凹型、後者には隆起型の頻度が高い。早期胃がんと進行胃がんがあり、胃壁を侵して広がる浸潤の深さによって分けられる。

胃壁は表層から粘膜、粘膜筋板、粘膜下層、筋層、漿膜下層、漿膜で成り立っています。早期胃がんはがんの浸潤が粘膜内、または粘膜下層に止まるものを言います。早期胃がんは診断上また治療上の必要性から病変部の表面形状によって、粘膜より突出の著しい隆起型、凹みが著しい陥凹型とその中間にあたる表面型のタイプに分類される。さらに表面型は表面隆起型、表面平坦型、表面陥凹型に細かく分けられ、表面陥凹型の頻度が最も高い。年齢的な見地からは陥凹型は若年層に多く、隆起型は高齢者に多く見られる。

進行胃がんはがんの浸潤が筋層を越えてみられる状態で、腹膜、肝臓、膵臓など他臓器への播種性転移や粘膜下リンパ管を経て、胃周囲リンパ節へリンパ行性転移、また血管を経て肝臓、肺など全身の臓器へ血行性転移などが予想できます。

胃がんの症状

早期胃がんの場合、がんに特徴的な症状は見られない。粘膜部分の炎症によって胸やけやげっぷ、食欲不振などの胃炎に類似した症状が認められる程度で、ほとんどの場合、無症状である。

進行胃がんでは食欲不振、体重減少、貧血、腹痛、しこりなどの症状が現れることが多い。進行すると肝臓に転移し、肝臓が腫れる肝腫大や腹膜に転移して腹水が溜まるなどの身体的な症状が出ることもあり、十二指腸潰瘍に似た空腹時の痛みなどの症状を示すこともあります。

胃がんの危険性がある症状

以下のような生活習慣または症状で出ている場合、胃がんの可能性があります。

・喫煙者であるまたはたばこの煙が多い場所にいる事がよくある。
・辛い物をよく好んで食べる。
・野菜は嫌いだ。
・週3日はアルコールを飲んでいる。
・ストレスは感じやすい。
・冷たい飲み物や熱いものを一気に飲むことがある。
・実は以前に比べて急に食欲がなくなった。
・げっぷの回数が増えた。
・嘔吐や吐き気を起こすことが多い。
・みぞおちに痛みを感じることがある。
・下痢と便秘を繰り返す。
・便の色が赤黒い。または黒だ。
・すっと胃もたれが続いている。

もし、複数の項目が該当する場合は胃がんの可能性があります。
病院での検診を行うことができますので、該当する方は病院で診断を受けましょう。

あと、香辛料を好んで食べたり、飲み物を一気に飲むことは、萎縮性胃炎にかかる可能性があり、発がんの元となりますので食事の時間・分量にも十分に気を付けましょう。

胃がんの検査と診断

早期検診が最も大切で自覚症状があろうがなかろうが、40歳を過ぎたら年に一回はレントゲン線または内視鏡による検査を受けることをお勧めいたします。

基本的な胃切除術を行う場合、周囲のリンパ節を含めて胃の3分の2から4分の3を切除します。リンパ節に移転が無ければ、予後は良く、再発もほとんどありません。また、隆起型や1.5cm以下の陥凹型であれば、内視鏡を用いての未開腹切除の治療法も行われています。

胃がんの治療方法

胃がんの手術成績は病気の進行度によって左右され、リンパ節に転移している頻度が低い早期胃がんの手術成績は極めて良い。

外科療法

胃がんの主流治療法は切除手術です。ステージ(病期)とがんのある部位によって胃の切除範囲を決めます。

メリット

がんの部位や進行度に対して、いろいろな手術法で根治的な手術ができ、切除した胃の再建手術も行える。

デメリット

開腹手術となるため、体の創が大きく体への負担も大きい。肺炎・縫合不全・膵液漏・創感染・腸閉塞等の 合併症が起こることがあります。

内視鏡治療

早期のがんで深達度が粘膜でとどまっており、リンパ節への転移が認められない場合に適応します。
内視鏡を使用し、胃の内側から病変(がん)を切除します。

メリット

体への負担も少なく開腹しないため、入院期間も短い。また術後も胃が温存されるため、一般的な食事も可能です。

デメリット

深達度の深いがんやがんの範囲の広い場合、内視鏡治療を受けることができない。 また、全てのがんが切除されたのか病理検査を行い、残っていた場合は再度手術を行う必要がある。

薬物療法

高齢などで体力がなく手術の負担が大きい場合や治癒が難しいとされた時の延命の目的などに抗がん剤も用います。

メリット

手術後、目視できないほどの小さながんに対して再発防止のために用い、効果が期待できます。

デメリット

食欲不振・倦怠感・脱毛・嘔吐などの副作用が起こる場合がある。

間違えられやすい他の病気

慢性胃炎、胃潰瘍