肺がん

肺がんとは

肺がんとは肺に発生する悪性腫瘍で患者数は胃がんの次に多く、毎年増加傾向にある。死亡率は全ての死亡数の約4.5%を占め、1993年には我が国の男性の肺がんによる死亡人数は胃がんを抜いてトップになった。

肺がんの分類と特徴

肺がんの発生部位は気管支の付け根(肺門)周辺に発生する中枢型と気管支の末梢(末端)部に発生する末梢型という2種類に大きく分類される。

肺がんは扁平上皮がん、小細胞がん、腺がん、大細胞がんの4つの組織型に分けられる。この内、扁平上皮がん、小細胞がんは喫煙がリスク因子となっており、発生部位としては肺門周辺(中枢型)が多い。腺がんは我が国で最も多く、肺がんの約55%を占め、女性患者の約80%は非喫煙者であることが報告されている。腺がんと大細胞がんの発生部位は気管支の末梢部(末梢型)が多い。

また、肺がんは他の臓器からの転移や他の臓器への転移の両方が起こりやすいという特徴を持っている。これは血液が肺を通して全身を循環しているため、がんが血液にのって転移しやすいためである。

肺がんの症状

初期の肺がんや腫瘍が小さい段階では症状は全くありません。胸部レントゲンにより、偶然見つけられた5mm~10mmの肺がんの多くも症状が出ないのが特徴です。呼吸困難や血痰などの症状は症状が進行し、太い気管支に影響が及んできてから症状が出始めます。

肺がんのセルフチェック

以下の症状に複数当てはまる方は肺がんの可能性がありますので要注意です。

・原因不明の発熱が起きることがあった。
・風邪ではないが咳や痰が治まらない。長期間続いている。
・痰に血が混じることがある。
・息苦しいと思うことが以前と比べて多くなった。
・急に胸が痛くなることがある。
・何もしていないのに体重がガクッとへった。または体型が痩せてきた。

先ほどの症状が当てはまる方や喫煙者の方は肺がんの危険性がありますので速やかに病院で診察してください。

肺がんの早期発見と治療の難しさ

肺がんは治癒率を上げることが最も難しいがんの1つと言われています。
その理由として、肺の呼吸による変形や肺がんの広がり方の特殊性が挙げられ、気管支の末梢にできたがんは気管支や肺胞をがん細胞にどんどん置き換えて増殖していきます。
その結果、気管支の末梢にある空気の出入り口となっている肺胞道を塞ぎ、肺胞が潰れていきます。

こう考えると、レントゲンで5mmと診断された腫瘍も元は3cm程度の範囲の肺胞を浸食してできた可能性があります。胃がんに例えれば直径10cmの胃がんと直径1cmの肺がんは同じ程度の進行度と言え、他のがんなら早期がんと言えるような小さな腫瘍であっても、肺がんの場合はかなり進行している可能性があります。このように肺がんの進行の特殊性が肺がん治療を困難にしている理由でもあります。

肺がんの治療法は現在も進歩しているが、症状が出てからでは予後も悪くなることが多いため、検診などによる早期発見が何より大切と言えます。

肺がんの治療

外科療法

早期の肺がんや他の臓器から転移したがんに対して、手術により患部を切除する治療法です。一般的にがんが進行している肺葉を切除、または片側の全ての肺を切除する片肺全摘を行います。
早期のがんであったり、体力のない患者様は肺葉の一部のみ切除する縮小手術になることもあります。合わせてリンパ節を切除するリンパ節郭清を行い、リンパ節への転移があるか調べます。

メリット

術後、順調であれば比較的には短期間で退院となります。

デメリット

肺炎、肺瘻、気管支断端瘻などの合併症が起こる場合があります。手術後に手術創ができるので、長期的に痛みを感じることがあります。

放射線療法

体外から放射線を使ってがん細胞を治療する療法です。初期のがんで拡大していない時に有効とされます。化学療法と合わせて使用されることが多く、効果を上げています。手術の難しいステージ3期や4期の患者様にも適応されます。

メリット

根治を目的とする根治的胸部放射線療法と他の臓器へ転移して症状を起こすことを緩和させる緩和的放射線療法があります。
身体への負担が少なく、1回当たり10分ほどの治療のため、手術を受けられる体力の少ない高齢者にも適応されます。治療期間も短く、費用は保険が適用されます。
(一部の病院や重粒子線治療等は保険適用外となります)

デメリット

食欲の低下・体のだるさ・咳・発熱などを起こし、肺炎・食道炎・皮膚炎になる場合もありますが、治療終了後、3~4週間で軽減されます。ただし、肺臓炎は起こった範囲が広い場合は生命にかかわる状態になるため、医師に相談が必要です。

化学療法(薬物療法)

点滴や静脈注射、または内服して体内に抗がん剤を取り入れます。

メリット

血液にのって薬剤が体内全体を巡って肺と肺の外側に広がったがんに効果があります。全てのステージの小細胞がんに対して効果が期待できます。

デメリット

小細胞がん以外には小細胞がん程効果が期待できません。したがって、他の治療方法との併用になります。また、がんだけではなく正常な細胞へもダメージを与えますので、脱毛や嘔吐、食欲不振の副作用が強く出ます。また腎機能障害や肝機能障害が発生する場合もあります。

肺がんの入院期間や費用

入院期間や費用はあくまでも目安となります。病状によっては、入院期間や費用が変わる可能性があるため病院にてご確認ください。

※1 現役並み所得者…70歳以上の高齢受給者のうち、標準報酬月額が28万円以上の被保険者とその被扶養者です。
(被保険者が70歳未満の場合は、その被扶養者である高齢受給者は、現役並み所得者とはなりません)ただし、高齢受給者の被保険者・被扶養者の年収合計額が520万円(高齢受給者である被扶養者がいない場合は383万円)未満であるときは、申請により2割負担(ただし、誕生日が昭和14年4月2日から昭和19年4月1日までの方は1割負担)となります。
被扶養者が後期高齢者医療制度の被保険者となったときでも、被扶養者であった方の年収と併せて計算できます。

(注1)健康保険適用時の一部負担金の割合


保険証等を提示して保険医療機関で医療を受けたときや保険薬局で薬の調剤をしてもらったときは、保険医療機関等の窓口でかかった医療費の一部を支払います。これを一部負担金と言い、本人・家族、入院・外来に関わらず、年齢等によってその負担割合が区分されています。

平成26年3月31日以前に70歳になった被保険者等(誕生日が昭和14年4月2日から昭和19年4月1日までの方)については、引き続き一部負担金等の軽減特例措置の対象となるため、平成26年4月1日以降の療養に係る一部負担金の割合は1割のままです。

※現役並み所得者…70歳以上の高齢受給者のうち、標準報酬月額が28万円以上の被保険者とその被扶養者です(被保険者が70歳未満の場合は、その被扶養者である高齢受給者は、現役並み所得者とはなりません)。ただし、高齢受給者の被保険者・被扶養者の年収合計額が520万円(高齢受給者である被扶養者がいない場合は383万円)未満であるときは、申請により2割負担(ただし、誕生日が昭和14年4月2日から昭和19年4月1日までの方は1割負担)となります。

※被扶養者が後期高齢者医療制度の被保険者となったときでも、被扶養者であった方の年収と併せて計算できます。

(注2)高額療養費制度について

高額療養費とは、1ケ月(月初から月末まで)にかかった医療費の自己負担額が高額になった場合、一定の金額(自己負担限度額)を超えた分が後で払い戻される制度です。 その際に必要な書類として、健康保険高額療養費支給申請書が必要であり、70歳未満の方で医療費が高額になることが事前に分かっている場合は限度額適用認定書を提出する方法が便利です。

詳細は全国健康保険組合のホームページにて掲載されております。

間違えられやすい他の病気

気管支炎、気管支拡張症、気管支ぜんそく、肺炎、結核腫