骨折

骨折とは

骨折とは外力によって骨が構造上の連続性を断たれた状態を言う。骨の状態や外力の加わり方によって、外傷性骨折、病的骨折、疲労骨折の3つに大別される。

外傷性骨折

作業や転倒、スポーツ、交通事故など日常生活のあらゆる場面で起こりうる。骨のもつ抗力以上の外力が加わって発生する骨折である。骨折部が皮膚内の閉鎖骨折(皮下骨折)と皮膚が破れ、骨折部が外界に直に接する開放骨折(複雑骨折)とがある。開放骨折は骨折部に創が生じ、化膿しやすい。骨髄炎を起こしやすく、完治しにくい。骨が砕けた場合は粉砕骨折と呼ぶ。

骨折部位は年齢によって特徴がある。小児は肘関節周辺、手関節に多く、高齢者は上腕骨頸部、手関節部、大腿骨頸部、脊椎に発生しやすい。

病的骨折

骨腫瘍や骨の感染病、高度の骨粗鬆症、骨形成不全症など骨自体に異常があり、正常では骨折しない程度の弱い外力で生じた骨折である。骨折時のレントゲンで骨腫瘍が発見されることもある。高度の骨粗鬆症はわずかな外力でも骨折を起こしやすい。

疲労骨折

正常な骨に軽微な外力が繰り返し作用して生じる骨折である。陸上競技や各種スポーツで見られ、脛骨と中足骨に多い。

骨折の症状

骨折にともなって、痛み、腫脹、内出血、変形、発熱が見られ、下肢なら歩行不能となるように骨の支持性が失われる。骨折箇所によっては多量出血があり、ショックの原因ともなりうる。

骨折の状態

骨折直後は出血によって血腫ができ、骨折端の骨組織もやがて壊死する。数日経つと固まった血腫が肉芽組織となる。

骨折の修復

壊死した骨組織は肉芽組織によって溶けて吸収される。線維性仮骨で骨折端の間が埋められ、折れた骨は骨を作る骨芽細胞と骨を吸収する破骨細胞の働きによって修復が進む。年齢、骨折部位、骨折の状態、全身状態、治療方法などによって修復の日数は異なる。

骨折の合併症

骨折にともなって、神経や血管の損傷、異所性骨化、阻血性拘縮、脂肪塞栓症、無腐性壊死などを合併することがある。フォルクマン拘縮とも言われる筋肉の血行障害による阻血性拘縮は発見が遅れると筋肉が壊死に陥り、硬くなって著しい機能障害を残すこともある。小児の肘周辺と下腿骨の骨折に多く、発生時は安静にしていても激痛が走る。無腐性壊死は血行障害のため骨片が壊死に陥るもので、骨折部が癒合すべき日数を過ぎても癒合しないことや変形してしまうことがある。