酸化ストレスとは|活性酸素とフリーラジカルについて

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この記事のポイント
1. 活性酸素・フリーラジカルと抗酸化のバランスを「酸化ストレス」と言い、酸化ストレスによって細胞が傷つくことを「酸化=サビ」と言う。
2. 活性酸素・フリーラジカルは、食事(酸化した食べ物、食品添加物、残留農薬等)、電磁波、ストレス、大気汚染、排気ガス等により増える。
3. 酸化ストレス過多になると、体がサビついて老化が進み、様々な病気や体の不調を引き起こす。

活性酸素・フリーラジカルとは?

活性酸素やフリーラジカルという言葉を聞いたことはあるでしょうか?活性酸素と聞くと何か体に良さそうというイメージもあるかもしれません。活性酸素自体は人体にとって必要な物質です。しかし、活性酸素には体にとって良い面も悪い面も持ち合わせています。良い面で言えば、体内のウイルスや細菌などの悪い病原体や微生物を殺菌してくれる作用があります。しかし、活性酸素の酸化力がとても強力なので、活性酸素が増えすぎると、健康な細胞まで酸化させてしまうというデメリットもあります。

活性酸素とフリーラジカルの違い

活性酸素というのは人間の体の中に入ってきた酸素のうち2%が活性酸素になると言われています。前述した通り、体にとって必要な働きをするものもあれば、増えすぎる事によって悪影響を及ぼしてしまうものでもあります。
一方、フリーラジカルは、活性酸素という総称の中の1種類に属します。活性酸素とフリーラジカルは、性質には異なる部分が多々ありますが、簡単に言うとフリーラジカルというのは原子核の周りにある電子の数が1個の活性酸素の事を言います。原子核の周りの電子は通常2個あると安定分子として、体に悪影響を及ぼしません。

活性酸素とフリーラジカル

 

しかしフリーラジカルは様々な理由で1つので電子になってしまい、体に「酸化」という悪影響を及ぼします。何故、酸化作用を及ぼすのかというと、失った電子を2個にしようとして、安定分子から電子を奪うという働きを始めてしまうからです。この動きによって、体を「酸化」させてしまいます。

フリーラジカルと酸化

「酸化」自体は体に取って必要な作用であり、体の中の有害なウィルスや細菌も殺菌してくれるのですが、増えすぎると必要以上に健康な細胞まで酸化させてしまいます。

また、フリーラジカルが正常な安定分子をどんどん酸化させていき、同じフリーラジカルを作っていきます。連鎖反応によりフリーラジカルが増えていき、体の中の酸化度が高まります。

不安定分子(フリーラジカル)の連鎖反応

フリーラジカルの連鎖・増殖

基本的に人の血液は常にpH7.4くらいの弱アルカリ性に保たれるようになっています。弱アルカリ性であるのが健康の証であり、そうでなければ人間は生きていけないのです。このように、外部環境の変化にかかわらず、生物の体内環境を一定に保つ働きを、ホメオスタシス(恒常性)といいます。しかし、このように活性酸素やフリーラジカルを増えすぎると、体が酸性に傾き、体の老化が早まり不健康な状態になってしまいます。

活性酸素の発生原因とは?

活性酸素・フリーラジカルは酸素のうち2%が活性酸素になると言いましたが、活性酸素やフリーラジカルの主な”原子”と”原因”は下記です。

【活性酸素やフリーラジカルの主な原子】

・O2- :スーパーオキシド
・OH :ヒドロキシルラジカル
・H2O2 :過酸化水素
・1O2 :一重項酸素 等が挙げられます。

【活性酸素やフリーラジカルが増える原因】

・酸化した食べ物
・食品添加物、残留農薬、加工食品 等
・化学物質、薬剤(薬の摂取)
・肥満
・電磁波
・ストレス
・大気汚染
・放射線被爆(病院などのCTやX線含む)
・タバコ・酒
・排気ガス
・紫外線
・過度な運動 等が挙げられます。

活性酸素の発生原因

活性酸素やフリーラジカルを過剰に高める原因を排除することが、健康体を作る要因の一つになります。

酸化ストレスとは?

酸化ストレスとは、「体内の活性酸素と抗酸化物質、抗酸化酵素のバランス」です。抗酸化物質や抗酸化酵素が多いと「抗酸化力」が高く、不要に多くなった活性酸素を除去する働きをします。抗酸化力が高く活性酸素とのバランスが均衡であれば免疫力も高まります。

【活性酸素を除去する酵素】
カタラーゼ、スーパーオキシドディスムターゼ 、グルタチオンペルオキシダーゼ、グルタチオン還元酵素、G6PD、など

【抗酸化物質】
ポリフェノール、セサミン、イソフラボン、カテキン、水素、ビタミンC、ビタミンE、ベータ・カロチン、ビタミンA、など

酸化ストレスと活性酸素(フリーラジカル)、抗酸化作用について

酸化ストレスの発生原因とバランス

酸化ストレスはバランスが大事

発生した活性酸素に対して、抗酸化物質や抗酸化酵素が追い付かない状況になると、バランスが悪くなり酸化ストレスが高まります。

運動は活性酸素を増加させ、筋肉に一時的な酸化ストレスを引き起こす可能性がありますが、一方で、運動中に形成される活性酸素は、抗酸化物質の産生を刺激するとも言われています。このように、過度な運動をするのではなく、適度な運動(有酸素運動)は酸化ストレスのバランスをうまく調節します。

酸化ストレスのバランスが崩れるとどうなるの?

酸化ストレスが与える影響は科学的に研究されてきました。長期的な酸化ストレスがさまざまな慢性疾患の発症に与えていることが示唆されています。酸化ストレスは、エイジングケアやアンチエイジングに欠かせない重要な要素です。

酸化ストレスのバランスが崩れると・・

酸化ストレスと病気

①様々な病気や体調不良を引き起こす

 

酸化ストレスと認知症・アルツハイマー

②認知症やアルツハイマーを引き起こす原因となる

 

酸化ストレスと肌、しわ、たるみ

③肌の老化現象を引き起こす

 

酸化ストレスと抜け毛、白髪

④抜け毛や白髪が増える

老化の原因の1つは、「活性酸素によって起こる体のサビ」と考えられている

このように、酸化ストレスの影響はさまざまです。ただ、酸化ストレスは活性酸素と抗酸化物質、抗酸化酵素とのバランスなので、活性酸素と同様に必ずしも有害であるとは限りません。風邪を引いた時や、体の体調を整えるのに”一時的”に酸化ストレスが高くなり、活性酸素が病原を殺菌して感染や病気から体を守ることもできます。

ただし、”長期的”な酸化ストレスは、体の細胞、タンパク質、DNAに損傷を与えるとも言われています。長期的な酸化ストレスは老化の一因となっていると言われており、さまざまな症状の発症に影響を与えている可能性があります。

以下では、慢性的な酸化ストレスによる慢性疾患との関わりですが、慢性的に酸化ストレスが高いと、以下を含む100以上の疾患と関連性があると言われています。

・生活習慣病(高血圧、糖尿病、高脂血症、肥満、動脈硬化)
・がん
・白血病
・脳血管疾患(脳梗塞、脳卒中)
・心臓疾患
・クローン病
・白内障
・認知症
・アルツハイマー病
・パーキンソン病
・慢性腎不全(透析)
・内臓疾患
・椎間板変性症
・炎症性疾患
・関節リウマチ
・慢性疲労症候群
・喘息
・男性不妊症
・エイズ

慢性炎症
酸化ストレスは慢性的な炎症を引き起こす可能性があります。マクロファージと呼ばれる免疫細胞は、侵入してきた細菌を殺しながらフリーラジカルを生成します。ここで生成されたフリーラジカルは健康な細胞を損傷し、炎症を引き起こす可能性があります。

通常の状況下では、マクロファージなどの免疫システムが感染等を排除して、損傷した組織を修復したりすると、炎症がなくなります。ただし、酸化ストレスは炎症反応の引き金にもなるので、フリーラジカルを連鎖反応的に生成して酸化ストレスが高い状態を長期的に引き起こすサイクルを作り出します。酸化ストレスによる慢性炎症は、糖尿病、心血管疾患、関節炎などのいくつかの状態を引き起こす可能性があると言われています。

神経変性疾患(アルツハイマー病・パーキンソン病など)
酸化ストレスの影響は、アルツハイマー病やパーキンソン病などのいくつかの神経変性状態の一因となる可能性があります。脳の細胞はかなりの量の酸素を必要とするため、脳は酸化ストレスに対して特に弱いと言われています。2018年に行われた研究(James Nathan Cobley, 13 reasons why the brain is susceptible to oxidative stress)によると、脳は体の中の酸素を約20%消費していると示唆しています。脳細胞は酸素を取り入れて、多くのフリーラジカルを生成する活動を行っています。これらのフリーラジカルは、脳細胞の成長、神経可塑性、および認知機能をサポートするのに役立てます。しかし、フリーラジカルが多く生成されて、酸化ストレスの度合いが高まると、過剰なフリーラジカルが脳細胞内の構造に損傷を与え、さらには細胞死を引き起こし、アルツハイマー病やパーキンソン病のリスクを高める可能性があると言われています。

椎間板変性症

酸化ストレスと椎間板変性の論文

上記の論文を要約すると、「椎間板変性が進行している状況下では過剰な活性酸素が生成させれています。酸化ストレスは、マトリックスの分解と炎症を強めるだけでなく、生細胞の数の減少も促進させます。活性酸素は椎間板のマトリックスタンパク質を分解して、椎間板の酸化や損傷を引き起こします。酸化ストレス値を適正にコントロールするような治療が必要であり、抗酸化物質の補給が必要です。抗酸化物質を補給するには椎間板の老化や椎間板変性のプロセスを遅らせるような抗酸化サプリメントの開発が必要で、抗酸化サプリメントの開発には臨床研究に基づく更なる調査必要です。」このように、酸化ストレスにより椎間板ヘルニアや脊柱管狭窄症などを引き起こす原因である椎間板変性が生じるという研究もあります。

関節リウマチ

下記は関節リウマチと酸化ストレス値の関係性です。関節リウマチ患者の方が有意に酸化ストレス値が高い結果となっています。

関節リウマチと酸化ストレス

資料提供:株式会社ウイスマー社

また、酸化ストレスは、老化を促進させるので、健康以外にも女性が気になる”美”に対しても悪影響を及ぼすと言われています。また、男性が気になる”抜け毛”や”白髪”に対しても加速させると言われています。

抗酸化力を高めるには

抗酸化力を高めて、酸化ストレスを下げる対策は数多くありますが、特に下記の4つが大事になります。

①食事に気をつける

②適度な運動をする

③ストレス解消をする

④デトックスで体の中をきれいにする

デトックスは内容にもよりますが、酸化ストレスを適正値に戻す効果(フリーラジカルを安定分子に戻す)や抗酸化力を高める効果もあります。

酸化ストレス・抗酸化力とデトックス

抗酸化力を高める事で、アンチエイジングやエイジングケアになるという事が言えます。酸化ストレスが高まる原因として年齢も挙げられます。30歳を超えると抗酸化力がどんどん下がってきて、70代と20代を比べれば約1/7まで減少されると言われています。活性酸素を減らすのではなく、酸化ストレス値でバランスを見る事が重要です。活性酸素は病原菌を殺したり、食べ物をエネルギーに変えたりと、体に必要な役割を果たします。ただ、活性酸素が過多にならないように、抗酸化力を高めていきましょう。