”最新版” 認知症の予防・対策・原因について

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【最新版】認知症予防と対策|認知症の原因について

冒頭から言うのもなんですが、認知症を治す治療法はまだ存在しません。ただし、生活習慣の改善や医師により認知症の進行を遅らせたり、予防したり、認知症の症状を和らげることができるため、生活の質を向上させることができるでしょう。この記事では、特に認知症の予防や対策、原因に関する情報を提供しますが、まだまだ認知症やアルツハイマー病は研究段階にあり、確実なものは世の中に存在していないと言えるでしょう。

認知症やアルツハイマー病を予防するためのヒント

現在の科学や医学では認知症やアルツハイマー病の原因を特定できていないので、認知症やアルツハイマー病を完全に防ぐ方法はありません。ただし、いくつかの生活習慣を変えるだけで認知症やアルツハイマー病対策に役立つ場合があります。

認知症やアルツハイマー病は、米国で約570万人の人々が影響を受けていて、日本では2025年に約730万に昇ると言われています。研究者は人が長生きする、つまり高齢化社会になるにつれてその数が増えると予想しているので、予防や対策が急務となっています。

前述の通り、認知症やアルツハイマー病を含むほとんどの認知症の原因は謎のままですが、遺伝的要因により認知症になるとも言われています。ただ、認知症や遺伝的要因だけでなく、環境的な要因も作用していると言われています。特に、遺伝的要因と環境的要因が組み合わされば、認知症を発症する可能性が高いとも言われています。

もし、認知症やアルツハイマー病が遺伝的な要因があったとしても、環境的要因を改善させれば認知症の発症リスクを軽減させて予防する事できるでしょう。環境的要因の一つである、生活習慣を改善する事により、認知症のリスクを軽減させる予防に繋がります。2016年に公開された系統的レビューでは、禁煙、運動、バランスの取れた健康的な食事、心血管の健康の維持、脳の運動により認知症のリスクを軽減できることが示唆されています。また、生活習慣病(高血圧、高脂血症、糖尿病、肥満等)とうつ病の早期診断と早期予防を行うことも認知症の予防や対策として大事と言われています。2011年の米国神経学会(AAN)の会議で研究者は、健康に関する問題が少ない人ほど長期的に認知症を発症する可能性が低いことに注目しました。

さらに、専門家がこれまで認知症に関連していなかったいくつかの要因が関係していると言われています。これらには、視覚、聴覚、皮膚の健康、義歯の適合性などと認知症に相関性があると言っています。ただし、これらはまだまだ調査段階での研究です。

認知症やアルツハイマーの予防や進行を遅らせる為のヒントは、環境的な要因である生活習慣を改善させる事が大事と言えます。ここでは、特に認知症やアルツハイマー病対策としての"生活習慣の改善"を詳しく解説したいと思います。

認知症予防の為に”食事”と"心血管"に気を遣う

健康的な食事は、心血管の問題や認知症の予防に役立つとも言われています。
心血管系の問題を抱える人は、認知症を発症する可能性が高いようです。

認知症やアルツハイマー病を発症する人に多い症状や疾患
●高血圧
●心房細動
●高コレステロール
●心臓病
●脳梗塞
●糖尿病

これらは、血管性認知症などの他の形態の認知症の根底にある可能性があります。喫煙や飽和脂肪の多い食事など、心臓の血管に悪い食べ物の摂取が脳の体積を減らす可能性があるとも言われています。アルツハイマー病の80パーセントの人に心血管疾患を発見したという資料もあります。血管性認知症は、脳に酸素を供給する血管に損傷がある場合に発生します。その結果、酸素が脳にまで運ばれません。心血管系の危険因子を制御することは、認知症やアルツハイマー病の発症を防ぎ予防するのに役立ちます。

■食事と心疾患が認知症やアルツハイマー病に影響を与えるという事が分かってきました。栄養バランスの取れた食事を心がけることで、心血管疾患を予防する事ができます。食事には気を付けましょう。

肥満(メタボ)にならない

心疾患や心血管が原因で認知症やアルツハイマーになると言いましたが、一部の人々は、心血管症状を伴わずに認知症やアルツハイマー病を発症します。原因としては、メタボリック・シンドローム(通称メタボ)も認知症に影響を与えると言われています。2017年にJournal of the American Heart Association(JAHA)に発表された3,458人の調査研究では、メタボと認知症に関連がある事を示唆しています。肥満、高血圧、高コレステロール、および高血糖を含む一連の症状がメタボリックシンドロームの患者が持っていると言われています。これらの生活習慣病を改善する事が認知症予防になると言えるでしょう。

メタボリックシンドロームの予防について
●健康的な食事
●運動
●肥満体型にならない(体重のコントロール)
●血圧管理
●コレステロール値の維持

これらを予防することで、糖尿病や心血管イベントだけでなく、認知症やアルツハイマー病のリスクを減らすことができると言えるでしょう。いくつかの研究では、中年期に体重や肥満が多かった人は、後年にアルツハイマーや血管性認知症を発症する可能性が高いことがわかっています。

2011年に九州大学で行われた研究では、糖尿病の人は、アルツハイマー病や血管性認知症を含む他の認知症の発症率が有意に高いことがわかりました。糖尿病を適切にコントロールすることで、認知症のリスクが低下すると言えます。

肥満⇒生活習慣病・糖尿病⇒心疾患⇒認知症 この流れがあることを覚えておきましょう。

認知症予防の為に食事改善とダイエットをする

健康でバランスの取れた食事は、心臓と脳を健康な状態に保つのに役立と言われています。心臓と脳の繋がりですが、心臓を健康な状態にする事により、脳に酸素や血液を豊富に運ぶことができる事が分かっています。最近の研究でも、心疾患のリスクスコアが認知機能低下の可能性と関連付けています。心臓を健康に保つには適切な体重管理が必要と言われているので、肥満体系の人はダイエットする事をお勧めします。肥満を解消することが認知症やアルツハイマー病の予防に繋がります。

認知症とダイエットの関係では、地中海式ダイエットにより脳の老化を防ぎ、血管性認知症の予防に効果あるという研究も発表されています。また、2014年の研究では、アメリカの栄養士のチームが地中海式ダイエットの効果として、地中海式ダイエットを続けると心血管および認知予防に効果がある事を報告しています。

地中海式ダイエットとは
地中海食とは、地中海に隣接した国々(イタリア、ギリシャ、スペイン等)の食事です。この地域に住む人々は、アメリカ人よりがんや心臓病に苦しむ可能性が低いと言われています。ダイエットにも効果的で、医学専門誌『American Journal of Medicine』によると、地中海食は炭水化物ダイエットと同程度の減量効果があると示唆しています。『U.S. News』でも2019年のベストダイエットに「地中海式ダイエット」が選ばれました。

地中海式ダイエットの基本的な考え
●脂肪の主な供給源としてオリーブオイルを摂る
●たくさんの果物を摂る
●野菜を多く摂る
●全粒粉を使った食材を使う
●動物性たんぱく質は控えめする⇒魚、鶏肉、卵、乳製品(チーズ、ヨーグルト)等。

2013年の研究では、1日2,100 カロリー以上を食べた70歳以上の人々が、軽度認知障害のリスクを約2倍にしたことが示されました。

2012年に発表された研究では、オメガ3脂肪酸とビタミン C、B、D、Eを多く含む食事は脳機能を改善する効果があり、トランス脂肪(不飽和脂肪酸)を多く含む食事は脳の収縮を促進する事を示唆しています。

週に一度、焼き魚を食べると、アルツハイマー病のリスクと軽度認知障害を減らすことができる研究もあります。

過食を避けて、オリーブオイル、果物、野菜を多く摂る事で心臓を健康な状態に保ち、肥満を抑制させることが、認知症の予防に繋がります

認知症予防の為に運動する

身体を健康に保つ為に運動をすると、心血管の健康が増進するだけでなく、精神的な健康も向上する可能性があります。2013年のアメリカの研究によると、若くから定期的な運動を行っている人は、血管性認知症とアルツハイマー病を発症するリスクを低くして予防すると言っています。運動が認知症の危険因子である心血管の健康に寄与して、脳への血液と酸素の供給を増加させるというものです。

人が成人期に近づくと、海馬として知られる脳の一部が縮小し始めます。これは、記憶の喪失と認知症のリスクの増加につながりますが、海馬の縮小の対策・予防として、運動を行う事で酸素や血液を供給することができます。2011年にアメリカで発表された調査結果では、1年間の中程度の運動がこの収縮を逆転させ、空間記憶を改善する可能性がある、すなわち認知症の予防に寄与することを示唆しています。

2012年、日本の研究者がマウスの研究により、運動だけでベータアミロイド形成の減少に効果があることが示唆されたため、認知症やアルツハイマー病を予防する方法として医師が患者に運動をする事を勧めています。

2012年に出版された71人の研究の結果によれば、80歳を過ぎてから運動を始めたとしても、認知症やアルツハイマーのリスクを減らす予防に繋がると言っています。歩く・走るだけの運動だけでなく、料理、皿洗い、掃除も効果があると言っています。認知症予防の為には、怠け者になってはダメという事ですね。

2011年に実施されたマウス研究では、妊娠中に運動した母親から生まれた子供も、後年にアルツハイマー病を含む神経変性疾患を発症する可能性が低くなる事を示唆しています。

2011年に公開されたレビューでは、特に有酸素運動が脳の血管を健康に保つと言っており、認知機能低下のリスクを減らし予防に繋がる可能性があると指摘しています。


若い時から運動をする事で認知症やアルツハイマー病のリスクを軽減させ、予防できる事が分かってきました。もちろん、高齢になってからでも遅くはありません。認知症予防の為にも適切な運動を行うことを怠らないで下さい。

認知症予防の為に挑戦心とアクティブな心を保つ

積極的な心を保つことは、人々が年をとるにつれて認知機能低下を防ぐのに役立つかもしれません。いくつかの研究で、人が以下の場合に認知機能低下のリスクが低いことを示唆しています


●脳を精神的に活発に保つ
●強い社会的つながりを維持する

フランスの429,803人の年金受給者のデータを分析した研究者によると、65歳で退職すると認知症になるリスクが減るという研究があります。65歳で退職した従業員は、60歳で退職した従業員と比較して、アルツハイマー病の診断を受ける可能性が14%低いことがわかりました。

ゲームをしたり、書いたり、読んだり、さまざまな方法で脳を刺激させると、老後の認知症予防に役立つと言われています。2013年に発表された研究では、脳を鍛える活動に定期的に参加した人は、思考と記憶を測定するテストで脳を鍛えていない人よりも良いスコアを得ることがわかりました。

2012年の研究によれば、生涯脳を活性化している個人は、アルツハイマー病のアミロイド斑の蓄積に寄与するタンパク質である、アミロイドβが低くることを示唆しています。軽度認知障害という時期(認知症予備軍)に、軽度認知障害が発症する20~30年以上前から脳には老人斑と神経原線維変化が出現して、アミロイドβやリン酸化タウが凝集・沈着してくることもわかっています。つまりアミロイドβが認知症を促進させるとも言われています。

2012年のある研究では、バイリンガルの人は、1言語だけを話す人と比較して、アルツハイマー病が発症するのに2倍の脳損傷を受けないと発症しないという研究結果を出しました。

2003年以前の研究で、469人を対象とした調査では、楽器、チェス、ブリッジなど、アクティブに楽器に挑戦する人は認知症のリスクを最大63%低減できることがわかりました。

常に何かに挑戦する、アクティブな行動を取る事で認知症やアルツハイマー病の発症を抑える予防と対策となる事が示唆されています。

認知症予防の為に睡眠の質を高める

途切れない睡眠をとる人は、後年に認知症を発症する可能性が低くなります。睡眠の質を高める事で、もの忘れ、認知症、アルツハイマー病のリスクを避ける事が言われています。

睡眠の質と認知症の研究では、睡眠障害をアミロイド斑の蓄積と関連付けています。夜中に頻繁に目覚めない人は、頻繁に目覚める人と比較して、アミロイド斑が蓄積する可能性が5倍低いと示唆しているので、認知症やアルツハイマー病の予防対策として睡眠の質を高める事が重要となります。

■睡眠の質を高めるためにはどうすれば良いのという事ですが、副交感神経を高める為に夜寝る前にはリラックスして、カフェインを飲まない、お風呂はぬるま湯にする、携帯やパソコンを使わない等を心がけて下さい。特に副交感神経を高める事が睡眠の質を高めて認知症やアルツハイマー病の予防に繋がると考えられます。

認知症予防の為に喫煙をやめる

喫煙も認知症との関連性があると言われており、喫煙が認知機能低下の一因であるという事が言われています。

韓国が2018年に公表した研究によりますと、喫煙と認知症に関する長期間における研究が行われました。60歳以上の46,140人の喫煙したことがない、または4年以上禁煙した人は、喫煙者と比較してアルツハイマーおよび他のタイプの認知症を発症するリスクが低いことがわかりました。

■喫煙と認知症の因果関係の一つの理由として、喫煙が心血管疾患のリスクを高める危険性があるということです。心疾患は前述した通り、アルツハイマー病の危険因子となっているからです。喫煙をしている人は禁煙して認知症の予防に努めましょう。

認知症予防の為に頭部にダメージを与えない

数は多くはないのですが、外傷性脳損傷(TBI)の後や、頭部へのダメージ(例として、サッカーをしている間に頭に繰り返し打撃を与えた)後にアルツハイマー病を発症したケースもあります。

2018年の研究では 外傷性脳損傷(TBI)、認知症、および血管機能障害の関連性を調査しました。この研究から外傷性脳損傷(TBI)が脳内の血管を損傷するため、認知症を引き起こすリンクがあると結論付けました。

■外傷性脳損傷(TBI)のリスクを伴うスポーツをする人は、保護具を着用した方が良いです。同じ理由で、バイクやサイクリング時も頭部をしっかり保護できるヘルメットを着用した方が良いです。

■記事のまとめ

現在の科学や医学では、まだまだ認知症やアルツハイマー病の原因を完全に特定する事ができていません。遺伝的要因もあると言われていますが、環境的要因を改善する事で認知症やアルツハイマー病の予防に繋がる可能性は高いです。生涯通じて健康的な食事をし、喫煙を避け、精神的および肉体的に健康を保つことで、認知症やアルツハイマー病のリスクを減らすことができるかもしれません。

 

認知症の予防や対策、原因について紹介しましたが、“認知症の初期症状10選”の記事もご紹介します↓