肩こりの症状によっては…

肩こりというと、「いつでも肩が重くて」とか「若いころから肩がこって」というように病気のイメージが少ないのか危機感を感じにくいということもあるかもしれません。

一般に肩こりは寒さによる筋肉の委縮やストレスや疲れによる血流悪化によって引き起こされることが多いのですが、時として他の病気から肩こりになることもあり、命にかかわることがあります。

下記にいくつか例を挙げさせていただきました。

肩こりによるくも膜下出血

心臓はポンプの役目をしており、動脈を介して血液を体中に送ります。もちろん脳にも休むことなく送り続けます。
ただし、肩こりのひどい人の肩や首の静脈はうっ血した筋肉により圧迫されて細くなり、うまく頭から血液が流れません。それでも心臓はどんどん頭に血液を送ろうとするため、頭の中に血液が充満され頭の圧力が上がります。そのため血管が弱くなっていると破裂してしまいます。

肩こり時の頭痛は脳の圧力が上がるために起こるものです。くも膜下出血など脳からの出血で命を落とすような人は数日前からひどい頭痛に襲われることがあるそうです。

肩こりによる心臓疾患

肩こりは左肩または右肩といった片側のみに異常が起こるという場合もあります。
肩こりは多くの日本人が抱えている身体の症状ですが、心筋梗塞からくる肩こりには特徴があります。ある日、突然今までに感じたことのないような左肩だけにこりを感じるといった症状を自覚した数時間から数日の間に発作を起こされる方が多くいます。

心筋梗塞とは冠動脈の動脈硬化により血管が狭くなることで血流が閉塞されることで起こり、心筋に血液が行かないとその部分が壊死してしまいます。壊死の部分が大きくなると心臓の収縮・拡張ができなくなるため、命にかかわる危険な状態となり死に至る場合があります。
他にも心臓に近い左肩のこりは心臓の栄養を養う血管が数多くあるため、心臓の異常のサインの可能性もあります。
マッサージをしても肩こりが改善されない、日毎に、または時間毎に肩こりがひどくなる、今までと違う肩こりを左肩に感じる、という場合は病院での診察が必要かと思われます。

胃の不調が発生する肩こり

心臓疾患以外に左肩のコリがひどいという場合は胃の不況が肩コリの要因としても考えられます。
左肩には心臓の影響とリンパ管の影響が現れます。体内を流れている血管やリンパ管は左半身と右半身では役割が違うので、片側のみの異常ということが起こります。
左肩周囲には心臓から流れて体内を一周した血液とリンパ管が合流する左静脈角という栄養が集中しやすい器官があります。暴飲暴食や、不規則な生活などによって、胃が疲れるとリンパ液や血液の循環が悪くなり、この左静脈角のある左肩がこります。

胃はストレスやお酒の飲み過ぎなど、不摂生によって影響を受けやすいデリケートな器官です。ストレスや胃への過剰な負担などによって、胃が弱るとリンパ液や血液がドロドロになって、左肩あたりの筋肉がこわばります。
これが胃からくる左肩こりのしくみです。この場合はストレスを減らし、食生活の改善、食事の量・回数を減らし、胃を休めてあげることが左肩こりの解消につながります。

肩こりによる痺れ

左肩こりがひどく、しびれもある場合は大きく分けて筋肉からくる場合と神経系からくる場合が考えられます。
肩こりや首のこりにより頸椎の血行が悪くなると筋肉が委縮し、その下を走っている神経を圧迫します。首には頸椎という7つの骨がありますが、周りの骨または筋肉の障害が起きるとその下の神経根が障害され、肩部や腕・手の疼痛や痺れが起こると言われています。
また、首の歪みからくる肩こりの場合は頸椎椎間板ヘルニアも考えられます。
こちらも同様に首の骨や軟骨の異常によって神経を圧迫しますので、圧迫する部位によって肩こりや首肩痛、時には痺れを引き起こします。

まとめ

肩こりは肩のみのケアだけでなく、他の身体の器官の病気の可能性がありますので、注意が必要です。
こういった原因の場合、マッサージなど肩への治療だけでは改善されませんので病院での受診をお勧めします。
多くの場合は首や肩の疲労による血流悪化が原因と呼ばれる肩こりですが、肩こり解消のマッサージもその原因によって方法やマッサージする部位が異なり、ご自身でのマッサージによる影響で炎症が起こる場合もあるため、肩こりがひどい場合は先に原因を知ることが大事です。

姿勢の悪さや首の歪みが原因の場合、左肩のみに負担がかかる動作の改善と姿勢の矯正が大事です。