生活習慣病とは?健康診断でも良く聞く生活習慣病、いったい何のこと?

生活習慣病の概念

生活習慣病は、「食習慣、運動習慣、休養、喫煙、飲酒などの生活習慣が、その発症・進行に関与する疾患群」と定義されています。*1

以前は、加齢とともに発症・進行するものとされており、「成人病」という名称が用いられましたが、運動不足や飲酒・喫煙・不規則な生活など、子供の頃からの生活習慣が原因で発症することが明らかとなり、最近では生活習慣病と呼ばれるようになりました。

*1 厚生省保健医療局疾病対策課「生活習慣に着目した疾病対策の基本的方向性について」1996年

生活習慣病の原因

生活習慣病の発症には日々の生活習慣が大きく関わっています。
具体的には、以下のことがリスク因子と言われています。

【生活面】
・20代の頃と比べて体重が10kg以上増えた
・お酒をよく飲む
・たばこを吸う
・運動をあまりしていない
・睡眠不足
・ストレスがたまっている

【食事面】
・炭水化物をよく食べる
・脂っこい料理をよく食べる
・濃い味付けの料理をよく食べる
・甘いジュースをよく飲む
・間食が多い
・深夜の飲食が多い
・野菜をあまり食べない

【運動面】
・移動は車が多い
・運動をする習慣がない
・一日の歩数は7,000歩未満が多い

上記のうち、当てはまる項目が多ければ多いほど、生活習慣病のリスクは高まります。

生活習慣病とは、どんな病気なのか?

生活習慣病と言われる病気は様々です。ここでは主なものをあげます。

糖尿病

血液中に含まれる血糖値が慢性的に高くなる病気です。
網膜症、腎症、神経障害というような三大の合併症のほか、動脈硬化が進行して脳卒中や心臓病のリスクも高くなります。

脂質異常症(高脂血症)

血液中のコレステロールや中性脂肪などの脂質代謝に異常をきたした状態を指し、動脈硬化が進み、心筋梗塞や脳梗塞などにつながる原因となります。

高血圧症

食塩のとり過ぎや肥満、飲酒、運動不足などが原因で、血圧の測定で最大血圧が140mmhg以上、または、最小血圧が90mmhg以上の場合を高血圧といいます。
高血圧の状態が続けば、動脈硬化が進んで、狭心症や心筋梗塞、心不全、脳梗塞や脳出血、認知症になりやすくなります。

心筋梗塞

動脈硬化により、心臓の血管に血栓が生じて、血液が流れなくなり心筋が虚血状態となる病気です。発症時には胸に激痛があり、呼吸困難や脈の乱れといった症状を伴う場合があります。心臓の血管が一瞬で詰まってしまい、突然死することもあります。

脳卒中

脳梗塞、脳出血、くも膜下出血の総称を脳卒中といいます。
脳梗塞は脳の血管が詰まった状態です。さらに高血圧の程度が強いと、脳の血管が破れる脳出血、脳の血管に動脈瘤が発生・破裂してしまうのがくも膜下出血です。

肺がん

喫煙などが原因で、気管支や肺胞の細胞ががん化する病気です。

肺炎

喫煙などが原因で、気管や気管支が慢性的に炎症を起こし、咳や痰が続く状態です。

大腸がん

食生活、飲酒、喫煙などが原因で、大腸(結腸・直腸・肛門)に発生したがんのことです。

肝硬変

腹水、黄疸、吐血といった症状が表れる病気です。アルコールが原因となることが多いです。

脂肪肝

中性脂肪が肝臓内に多く蓄積した状態。肝炎を引き起こし、肝硬変にまで進行する可能性もあります。

原因別の生活習慣病

各疾患を引き起こす原因別に分類すると、以下のようになります。

食習慣が原因で発症する疾患

糖尿病、肥満症、高脂血症、高血圧、大腸がん

運動不足が原因で発症する疾患

糖尿病、肥満、高脂血症、高血圧症

進行してしまったら、心筋梗塞や脳卒中などの循環器疾患に発展する恐れがあります。

喫煙が原因で発症する疾患

肺がん、慢性気管支炎

過度な飲酒が原因で発症する疾患

肝硬変や脂肪肝などの肝疾患

生活習慣病とメタボリックシンドローム

生活習慣病のうちの糖尿病、脂質異常症、高血圧症が互いに合併しやすい病気です。それぞれが軽度であっても、2つ以上重なる状態をメタボリックシンドロームといいます。メタボリックシンドロームは生活習慣病の前段階の状態をさします。

メタボリックシンドロームの方は、そうでない方と比べて、2型糖尿病になるリスクは約3倍、心血管疾患を起こして、それにより死亡するリスクは約3倍になると言われています。*2

*2  Earl S Ford. Risks for all-cause mortality, cardiovascular disease, and diabetes associated with the metabolic syndrome: a summary of the evidence. Diabetes Care. 2005, 28(7).

生活習慣病の予防—「一無、二少、三多」

生活習慣病は、リスクのある習慣を改善すれば予防できます。
生活習慣病の予防は、日本生活習慣病予防協会が主張している「一無、二少、三多」が基本となります。一無は禁煙、二少は少食・少酒、三多は多動(=身体活動量を増やす)・多休(=しっかり休養する)・多接(=イキイキした生活を送る)を意味します。この3つのポイントを押さえた生活が、生活習慣病の予防に効果的です。

生活習慣病の予防—禁煙

タバコに含まれるニコチンや一酸化炭素は、心臓や血管に悪影響をもたらす物質です。また、タールという物質には、発がん物質・発がん促進物質・その他の有害物質が含まれています。
禁煙は生活習慣病のリスクを下げる上で大きな効果が期待できます。

生活習慣病の予防—バランスのよい食事

暴飲暴食をせずに、カロリー・塩分・脂質が少なめの食事がベストです。
食生活の見直しは、糖尿病・高血圧・肥満の予防や治療に効果が期待できます。
また、生活習慣病の発症には、アルコールの摂取も大きく関係しています。体質的に多量のお酒を飲める方でも、1日の摂取量は日本酒で一合程度までに控えることが望ましいです。

生活習慣病の予防—適度な運動

適度な運動と十分な休息も生活習慣病を予防するために大切なポイントです。身体をしっかりと動かして、休養を取ることで、心と体の健康が保たれます。また、イキイキと暮らすためには、多くの人や物事と接する機会を得ることも大事です。